1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト有細胞セメント質におけるシャーピ-線維の埋入機序について
Project/Area Number |
09671842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 恒之 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80200822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土門 卓文 北海道大学, 歯学部, 助手 (50217618)
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Keywords | 有細胞セメント質 / セメント芽細胞 / シャーピ-線維 / 主線維 / 固有線維 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト歯においてセメント芽細胞がどのようにして有細胞セメント質内の線維配列を調節するのかについて明らかにすることである。この目的のため、抜去直後の下顎小臼歯を光顕、透過型および走査型電顕により観察した。走査型電顕では細胞以外の成分をすべて除去するKOH-コラゲナーゼ法を導入した。 シャーピ-線維が密な部位では、セメント芽細胞は翼状の突起により主線維を取り囲んでおり、それらの突起のセメント質側はセメント質表面に平行な指状の突起を形成していた。指状突起の形成と主線維を囲む固有線維の出現には密接な関係が示された。固有線維が主たるセメント質の線維成分である部位、すなわちシャーピ-線維がほとんど、あるいは全く無い部位では、翼状突起を持たないセメント芽細胞が指状突起を細胞体のセメント質側に形成していた。以上の観察結果から、「指状突起の特徴からセメント芽細胞は二種類に分けられる。ひとつは翼状突起と関係する指状突起を持つセメント芽細胞であり、これらは歯の支持のため固有線維を指状突起から分泌して主線維を埋め込んでゆく。もうひとつは翼状突起を持たず、翼状突起と関係しない指状突起を持つものであり、これらは主としてセメント質の厚さを調整するために指状突起から固有線維を分泌する。」ということが示唆された。
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