1997 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球中性セリンプロテアーゼの細胞膜結合化局在に伴う歯周組織破壊機構への関与
Project/Area Number |
09671900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
國松 和司 長崎大学, 歯学部附属病院, 講師 (20170011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 幸生 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (60204187)
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
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Keywords | カテプシンG / メダラシン / 酵素免疫測定 / 歯周疾患 / 好中球 / プロテアーゼインヒビター |
Research Abstract |
歯周疾患による歯周組織破壊に宿主および細菌由来のプロテアーゼが関与しているが、このプロテアーゼも主に血清由来のプロテアーゼインヒビターの制御を受けながら機能していると考えられている。歯周ポケット内には歯周病原性細菌が多数生着しているため、各種炎症性細胞がポケット内に遊出して宿主防御機構を司っている。そのため、歯周疾患の病態は臨床パラメーターよりも歯周ポケット内の滲出液(歯肉溝滲出液)を量的・質的に調べることにより、その状態をより客観的に知ることが可能である。炎症性細胞の中でも、好中球は歯肉溝滲出液中に最も多く存在し、細菌に対して活発な防御機能を発揮している。そこで、この細胞内に多数含まれる炎症性プロテアーゼであるカテプシンGおよびメダラシンを用いて宿主防御機構を解明することを計画した。そこで本年度は、まず両酵素をヒト肋骨骨髄細胞より分離・精製し、家兎よりそれぞれに特異的な抗体を調製した。次に、両酵素の検出される歯肉溝滲出液も、貯留濠出液と一定時間内に新たに滲出してくる滲出液ではその意義が異なるため、両者を酵素免疫定量値を指標として比較検討した。歯肉溝滲出液は、ペリオペ-パ-^<TM>を歯肉縁下約1mmの所に30秒間静置して採取し、これを貯留滲出液(A群)とした。その後すぐに新しいペリオペ-パ-^<TM>を同部位に3分間静置し、これに吸着した滲出液を新たに滲出してくる滲出液(B群)とした。その結果、カテプシンGおよびメダラシンはともに、明らかにA群中に多く回収され、B群では低い値を示した。しかし、B群では免疫定量値に多様性がみられ、臨床パラメーターと照らし合わせるとサンプル間の病態の差をより詳細に反映している可能性が示唆された。以上の結果より、歯肉溝滲出液を用いる場合には、採取方法だけでなく、使用目的に応じた滲出液を採取することも考慮しなければならないことが理解された。
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Research Products
(1 results)