1998 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球中性セリンプロテアーゼの細胞膜結合化局在に伴う歯周組織破壊機構への関与
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09671900
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
國松 和司 長崎大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20170011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 幸生 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60204187)
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
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Keywords | カテプシンG / メダラシン / 酵素免疫測定 / 歯周疾患 / 歯肉増殖症 / 免疫組織学 |
Research Abstract |
カテプシンGとメダラシンは細胞外に積極的に放出されて機能するプロテアーゼで、その役割の解明は重要な課題である。そこで、それぞれの酵素の特異抗体を用いて歯周疾患への関連を調べた。まず、同意の得られた歯周炎および若年性歯周炎患者の歯肉溝滲出液中のメダラシンの酵素免疫定量を行った。歯周炎患者はいわゆる40歳代の典型的な重度の成人性歯周炎患者と歯槽骨吸収はみられるが、その程度は軽度の未成年の成人性歯周炎患者に分けて調べた。その結果、若年性歯周炎患者の酵素量の平均値は重度歯周炎患者の酵素量と同程度であったが、軽度の未成年歯周炎患者より有意に多く検出された。この結果は、歯周炎の進行程度と滲出液中のメダラシン量には相関があり、本酵素の組織破壊への関連を示唆するものである。また、本酵素量の有意な差より、同年齢の歯周炎であっても若年性歯周炎は成人性歯周炎より組織破壊が急速かつ重度であると考えられ、メダラシン等の炎症性プロテアーゼのより強い関与が示唆された。次に、両酵素のヒト炎症歯肉組織における分布を調べた結果、細菌等の刺激因子に近接する部位、つまり、歯周ポケット上皮近傍では各酵素保有細胞の著明な浸潤を認めたが、その多くは酵素が脱顆粒しており、生体防御機能の反面、組織破壊へも関与している可能性が示唆された。また、歯周組織破壊の程度に比例して結合組織深部でも両酵素が認められたが、その多くは細胞内に局在しており、部位におけるこれらの酵素の役割の相違が推察された。歯周炎歯肉結合組織でも口腔上皮伸長部位付近では数多く検出され、増殖機構との関連を疑われたため、ニフェジピン誘発性ヒト増殖歯肉とラットを用いた実験的歯肉増殖症歯肉の免疫組織学的研究を行い、両酵素の関連を認めた。しかし、脱顆粒像は少なく、多くは細胞膜周辺で発現しており、細菌の貧食以外にも代謝調節等で重要な働きをしている可能性が推測された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ozaki Y.,Kunimatsu K.et al.: "Role of medullasin in nifedipine-induced gingival overgrowth in rats." Arch.oral Biol.43. 801-810 (1998)
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[Publications] Kunimatsu K.,Ozaki Y.et al.: "Pathophysiological role of cathepsin G in nifedipine-induced gingival overgrowth." Journal of Dental Research. 77(Special lssue B). 738 (1998)