1998 Fiscal Year Annual Research Report
化学療法併用多分割放射線治療による口腔癌の治癒率向上と後障害低減に関する研究
Project/Area Number |
09671922
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤田 實 広島大学, 歯学部, 助教授 (90116658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 敬子 広島大学, 医学部, 助手 (20243587)
赤木 由紀夫 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (40222509)
広川 裕 広島大学, 歯学部, 助教授 (40116653)
内藤 久美子 広島大学, 歯学部, 助手 (10155632)
|
Keywords | 放射線治療 / 多分割照射 / 口腔癌 / 化学療法 |
Research Abstract |
口腔癌に対する放射線治療成績の改善を図るために、73例の新鮮扁平上皮癌症例を対象に化学療法を併用した多分割放射線治療が行われた。2年生存率は、T1及びT2症例の割合が高かったこと、救済手術の寄与が高かったことなどの寄与があったため、比較的高く全体でそれらでは82.0%であった。多分割照射単独治療では生存率が大きく改善されると思われる要素はなかったが、化学療法を併用することによって制御率はやや向上した。局所制御率では放射線量と併用化学療法の影響が原発腫瘍のサイズによって現れた。低いT病期では制御率が高く、従来手術が治療の主体であった歯肉癌、頬粘膜癌などは、形態・機能を温存するという立場から化学療法併用多分割放射線治療の適応になるものと考えられた。一方、局所進行癌では、従来と同様の低い制御率であったが、手術非適応例を適応例にdown-stageさせることによって局所制御率を向上させる可能性のあることが示された。しかし、晩発反応のうち、歯・歯槽骨及び顎骨の変化が強度に現れる症例が比較的高い線量の照射群にみられた。これらは治療後のQOLに大きく影響を及ぼすことから歯科の立場からの放射線治療法の工夫への関与、あるいは全口腔単位での綿密な管理と経過観察の重要性が示唆された。多分割照射と化学療法との併用群は治療成績の改善に不可欠となってきた現在では、晩期合併症をできるだけ減少させるための治療上の改善を早急に図ることが必要と考えられた。
|