1997 Fiscal Year Annual Research Report
シェ-グレン症候群の口腔乾燥症の病態解明とステロイド剤を用いた新しい治療法の確立
Project/Area Number |
09671927
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
泉 雅浩 長崎大学, 歯学部附属病院, 講師 (40212956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
角 美佐 長崎大学, 歯学部, 助手 (90284702)
角 忠輝 長崎大学, 歯学部, 助手 (80284701)
米津 康一 長崎大学, 歯学部, 助教授 (70167039)
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Keywords | シェ-グレン症候群 / MRI / 脂肪変性 / 口腔乾燥 / ステロイド / 治療 |
Research Abstract |
本年度はSjoren症候群(SS)患者52名に対しインフォームドコンセントを行ったうえ、画像診断装置であるMRIおよびCTを用いて唾液腺の組織変化の同定を行った。また、このうち28名の患者に対し同意を得て、唾液腺カテーテルを用い、耳下腺部へのステロイド剤の局所投与を行い唾液分泌量の改善を試みた。 1.画像診断解析により、1)MRIのT1強調像において耳下腺内部に認められた高信号領域は脂肪抑制撮像法であるSTIR法、FS法の両法において信号が抑制された、2)SS患者耳下腺のCT値は同年代の健常者に比べて、有意に低下し、3)SS患者顎下腺もT1強調像において高信号を示し、CTでは著明なCT値の低下を認められた、4)サクソンテストによる唾液分泌量の計測では、脂肪変性の程度に相関して低下が認められた、等の結果が得られた。このことより、SSによる唾液腺の組織変化は脂肪変性あるいは脂肪組織への置換であり、不可逆性の変化であることが明らかとなった。 2.ステロイド剤の局所投与により、治療前後を比較すると有意(p<0.0001)に唾液分泌量の増加が認められた。そのうちの約40%の症例は顕著な唾液分泌量の改善(200%以上あるいは1g以上の増加)が認められた。唾液分泌量の改善度は唾液腺MRIのグレードにおける病態の進行度が軽い程、高かった。改善時期は洗浄開始後平均3週で、改善の持続期間は平均5カ月であった。また、治療対象者のうち5名が、治療前に耳下腺部の疼痛を伴う腫脹を訴えていたが、生理食塩水による洗浄とマッサージで、全症例軽快した。副作用は薬物アレルギーの既往のあった1例に洗浄期間中に皮疹を認めたのみであった。以上の結果より、本法はSS患者の口腔乾燥症ならびに再発性の耳下腺の腫脹に対して有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
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Research Products
(1 results)