1998 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群の口腔乾燥症の病態解明とステロイド剤を用いた新しい治療法の確立
Project/Area Number |
09671927
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
泉 雅浩 長崎大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40212956)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
角 美佐 長崎大学, 歯学部, 助手 (90284702)
角 忠輝 長崎大学, 歯学部, 助手 (80284701)
米津 康一 長崎大学, 歯学部, 助教授 (70167039)
|
Keywords | シェーグレン症候群 / MRI / 脂肪変性 / 口腔乾燥 / ステロイド / 治療 |
Research Abstract |
本年度は昨年に継続して、Sjogren症候群(SS)患者にインフォームドコンセントを行い、同意が得られた患者に対し、耳下腺部へのステロイド剤の局所投与による治療を試みた。症例数は今年度追加となった11名を合わせて39名(一次性29名、二次性10名)である。唾液腺の組織変化については、昨年と同様の方法を用い、脂肪変性の程度をMRIを用い評価し、治療前後で比較した。 1. 治療成績は昨年とほぼ同等の結果が得られ、統計学的に有意(p<0.0001)な唾液分泌量の増加が認められた。顕著な唾液分泌量の改善が得られた症例は約40%(16例)で、治療前と比較すると200%以上あるいは1g以上の増加が得られた。唾液分泌量の改善はMRIのグレードに相関しており、唾液腺の脂肪変性が軽度な群での改善量は平均1.3gであったのに対し、最も進行した群では平均0.2gであった。改善時期は洗浄開始後平均4週±2.6週で、改善が得られている期間は平均8.6ヵ月であった。また、改善期間を過ぎた症例に対し、同様の治療を繰り返し行ったが、いずれの症例も同等度以上の改善が得られた。 2. 治療前後での病態の進行度の比較においては、治療後にMRIによる評価を行った20名に、病態の進行は認められなかった。一方、非治療群では、2年間で6名中3例に耳下腺部の脂肪変性の進行が認められた。 日本におけるSSの潜在的患者数は約50万人ともいわれており、口腔乾燥に苦しむ患者も少なくない。しかしながら、いまだSSの病因は解明されておらず、有効な治療法も確立されていないのが現状である。我々の今回の研究により、SS患者の唾液腺の変化は脂肪変性という不可逆的変化であり、早期発見、早期治療が重要であるということ、また唾液腺へのステロイド剤の局所投与が口腔乾燥症の改善ならびに病態の進行に対して有効な治療法であることが強く示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Izumi M.,他4名: "Premature fat deposition in salivary glands affected by Sjogren's syndrome;Evidence by MR and CT" AJNR. 18. 951-958 (1997)
-
[Publications] Izumi M.,他6名: "MR features of the lacrimal gland in Sjogren's syndrome" AJR. 170. 1661-1666 (1998)
-
[Publications] Izumi M.,他5名: "Corticosteroid irrigation of parotid gland for treatment of xerostomia in patients with Sjogren's syndrome" Ann Rheum Dis. 56. 464-466 (1998)