1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671980
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学部, 助教授 (30178644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉澤 佳純 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10124603)
橋本 省 東北大学, 医学部, 助教授 (20156285)
渡辺 誠 東北大学, 歯学部, 教授 (80091768)
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Keywords | 顎関節症 / 耳鳴 / 感音性難聴 / 咬合異常 / 聴覚検査 / 顎関節雑音 / MRI |
Research Abstract |
目的 : 顎関節症患者で観察される耳鳴などの耳症状の実体ならびにその発現機序は未だ明らかではない。耳鳴を有する顎関節症患者の顎関節症症状ならびに咬合異常所見を明らかにすることを目的として、以下の研究を遂行した。 方法 : 被験者は、耳鳴を訴えた顎関節症患者25名(16〜64歳)である。いづれも東北大学歯学部附属病院顎関節症外来に治療を希望して来院した患者である。これらの患者の顎関節症の臨床症状を当科のプロトコールに従って診査した。また顎関節MRIにより関節円板の転位の有無を確認した。耳鳴の程度は、日本耳鳴研究会制定の耳鳴スコアにより評価した。また全症例について、東北大学医学部附属病院耳鼻科外来にて耳鼻科学的検査を行い、耳鼻科医による診断を受けた。耳鼻科学的な疾患に起因する耳鳴症例は、今回の対象から除外した。咬合異常所見は、当科でのバイオフィードッバクを用いた咬合診査法に基づき診断した。 結果および考察 : 25名中19名に顎関節雑音が認められた。これは当科の有する顎関節症患者群413名のデータベースと比較して有意に高頻度であった。咬合異常所見としては臼歯部の低位咬合が疑われスプリント治療対象となった症例が25名中16例であった。顎関節MRI検査から、25名中15名において関節円板前方転位と診断された。全ての症例において、耳鳴は顎関節症の主症状側に存在した。耳鼻科学的検査では、25名中10名において耳鳴側の感音性難聴が認められた。また2名において耳鳴側に前庭機能障害が認められた。耳鳴スコアを関節円板転位群と非転位群で比較した結果、耳鳴スコアは転位群で有意に高いことが明らかになった(Mann-Whitney U検定,p<0.05)。また転位群では感音性難聴が8名、前庭機能障害が2名認められ、非転位群(感音性難聴2名)と比較し、耳鼻科学的検査における異常所見を有する患者の割合が有意に多かった(FisherのX^2検定)。これらから耳鳴の程度ならびに耳鼻科学的異常所見の発現頻度は、円板転位と何らかの関係があることが示唆された。
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