1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属表面に対する接着機能性モノマーの化学吸着構造の解析
Project/Area Number |
09672003
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大野 弘機 北海道医療大学, 歯学部・歯科理工学講座, 教授 (70018430)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部・歯科理工学講座, 助教授 (70168821)
|
Keywords | 接着機能性モノマー / 化学吸着 / 水晶振動微量天秤法(QCM) / 4-META / キレート結合 |
Research Abstract |
金属と接着性モノマーは、モノマーの極性基と下地金属表面の相互作用によって接着し、接着界面の接着力と耐水性は、モノマーと下地金属の酸・塩基性によって決まる。現在、接着性モノマーとして、4-META、4-AET、MAC-10、MDP、VBATDT、M10PSなどが用いられている。しかし、接着力と耐水性におよぼすモノマーと下地金属の酸・塩基性の効果についてはほとんど解明されていない。これらを明らかにするためには、異なる金属表面への種々の接着性モノマーの吸着・脱離挙動を調べる必要がある。微小質量変化を検出できる方法として、水晶振動微量天秤法(Quartz Crystal Micro-balance,QCM)がある。この方法では、水晶振動子の共振周波数変化からナノグラムオーダーの質量変化を測定できる。本実験では、QCMを用いて、下地金属の種類を変え、接着性モノマーの吸着・脱離挙動を調べた。 大気中でMMAを注入した場合、MMAの吸着と溶液によるすべり振動の抵抗により共振周波数が減衰した。Snを蒸着した振動子に4-METAを5%含むMMA溶液を添加した場合、共振周波数が増加し、蒸着したSnがMMA溶液中に溶出していることを示した。この事実を実験的に確かめるために、Snを蒸着した2枚のガラス板をそれぞれ、MMAのみと4-METAを5%含むMMA溶液に浸漬した。4-METAを5%含むMMA溶液に浸漬した場合では蒸着Snが失われ、透明になった。4-METAのキレート効果によりSnがMMT溶液中に溶出したものと考えられた。 金属と4-METAの接着機構を解明するために、Bolgerの酸・塩基理論に基づいて、金合金表面の酸化物と4-METAの接着機構を論じた。金属表面の水分子と反応して4-METAが4-METに変化したと仮定し、フタル酸の酸解離定数の値を用い、下地の金属酸化物の等重点の値から接着機構について検討した。その結果、In_2O_3、ZnO、SnOでは、4-METAとイオン性の結合によって、またSiO_2では、水素結合によって接着していると考えられた。
|
-
[Publications] H.Ohno,et al.: "Evidence on the Chemical Bond of 4-META with Metal" Journal of Dental Research. 77. 943 (1998)
-
[Publications] 大野弘機,他: "貴金属合金表面に形成した樹脂含浸構造による完全な接着" 接着歯学. 16,4. 200-201 (1998)
-
[Publications] 小西、平井、大野: "貴金属床義歯フィニッシングライン部の漏洩防止に有効な接着技法" Quintessence of Dental Technology. 23. 17-25 (1998)
-
[Publications] 金子,大野,他: "貴金属メタルフレームと床用接着性加熱重合型レジンとの接着の強化法" 日本補綴歯科学会雑誌. 42. 68 (1998)
-
[Publications] 大野弘機,他: "高温酸化形成した内部酸化粒子による金属接着の強化法" 歯科材料・器械. 17. 108 (1998)
-
[Publications] 今北,大野,他: "コンポジットレジン修復の重合収縮によって発生したエナメル質窩洞辺縁の割れ" 日本歯科保存学雑誌. 41,1. 312-319 (1998)
-
[Publications] 大野,遠藤: "バイオマテリアルと生体-歯科鋳造用金属" 中山書店(分担執筆), 12 (1998)
-
[Publications] 遠藤,大野: "バイオマテリアルと生体-機能性タンパク質被覆による金属界面の設計" 中山書店(分担執筆), 6 (1998)