1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09672083
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
白数 力也 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60067030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 功 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70278571)
和唐 雅博 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20167216)
榊 敏男 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90301647)
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Keywords | 口腔原発癌 / 細胞間接着 / カドヘリン / カテニン |
Research Abstract |
62例の口腔原発扁平上皮癌を対象にE型カドヘリンおよびα-カテニンの発現性を免疫組織化学的,生化学的に検討した.対照とした健全口腔粘膜ではα-カテニンはE型カドヘリンの発現様式と一致して発現し,組織構築と細胞間情報伝達が両接着分子によって維持されていることが示された.癌組織においても両接着分子は癌細胞膜に発現したが,発現減弱(あるいは欠失)しているものもみられた.対象とした口腔原発癌62例のうち,E型カドヘリンの発現が(+)を示す症例は38例(61,3%)で,そのうちα-カテニンの発現は20例(52.6%)で減弱あるいは欠失((±)および(-))していた.一方,α-カテニンの発現の減弱あるいは欠失は62例のうち44例(71.0%)にみられ,これらの症例はE型カドヘリンの発現が減弱あるいは欠失していた24例(38.7%)すべてを含んでいた.α-カテニンを発現している癌細胞は,いずれも同部位にE型カドヘリンを発現していたが,逆は必ずしも一致しなかった.E型カドヘリンおよびα-カテニンの発現減弱(あるいは欠失)は癌の分化度や浸潤様式と相関性を示したものの,び漫性浸潤を示す癌のなかにはE型カドヘリンを発現しているにもかかわらずα-カテニンの発現を減弱(あるいは欠失)している症例がみられるなど,両接着分子の発現様式は必ずしも一致しなかった.両接着分子の発現減弱(あるいは欠失)は癌の脱分化と浸潤様式に相関していた.これらのことから,α-カテニンの発現異常はE型カドヘリンよりも癌の浸潤・転移と密接に関連するだけでなく,細胞接着機能の低下をよく反映するものと考えられ,両接着分子の発現減弱(あるいは欠失)は口腔原発扁平上皮癌の浸潤・転移機構に関与していることが示唆された.
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