1997 Fiscal Year Annual Research Report
こんにゃくの製造法における「のり」の伝統的調製技術の科学的解析
Project/Area Number |
09680024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笠井 八重子 岡山大学, 教育学部, 教授 (00112136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 婦美子 作陽短期大学, 家政学科, 助教授 (10176969)
西山 恵 山陽学園短期大学, 家政学科, 助手 (30249544)
小合 龍夫 倉敷芸術大学, 教養学部, 教授 (40032536)
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Keywords | コンニャク「のり」 / 自然生こんにゃくいも / こんにゃくの伝統的製造法 / こんにゃくの物理的特性 / 「のり」の粘弾性測定 / 凝固剤木灰汁 |
Research Abstract |
自然生栽培地域を中心に収集したコンニャクいもの特質並びに、その産地農家におけるこんにゃくの伝統的製造法について聞き取り調査を行った。種々のいもを用いて同一方法でこんにゃくを製造すると物理的特性に大きな違いはみられず、また、いずれの産地農家製造のこんにゃくの物理的特性は表面の柔らかい、粘りと弾力のあるもので、市場に出でいる工業的製造法によるこんにゃの物理的特性とは形質を異にすることが明らかになった。一方、製造方法においては農家及び加工業者で、(1)いもの粉砕、糊化加熱の工程、(2)「のり」の調製、マンナンの膨潤の工程、(3)凝固剤によるゲル化の工程、(4)固化加熱の工程での操作等に特徴がみられた。(3)の工程について凝固剤に木灰汁を利用する実態や物理的特性、製造時の利用特性に関しては、一部報告した(「食生活研究」(1997)など)が、今後、取組む興味ある課題が残された。一方、(2)の工程について産地農家では、いもの特質を十分に生かした方法がとられていることが判明した。すなわち、イモを粉砕した「のり」を手の感触によって、最後にできるこんにゃくの物理的特性を想定して急激な混ねつや攪拌は行わず、さらに、「のり」の放置温度や時間を考慮して理想とする粘弾性のものに調製する本工程が最も重要視すべきであることが指摘できた。そこで、放置温度や時間による「のり」の粘度に及ぼす影響を調べた結果、産地いもによって放置時間や温度による影響の異なることが明らかになった。この場合、こんにゃく「のり」の性状は粘度のみでなく粘弾性を示すため、このような固体に近く、わずかな流動性を示すゾル状の物理的特性を高分解分析機能を有するクリープメータを用いて測定する方法を考えた。その方法によって「のり」の粘弾性特性を明らかにすることが可能になった。このことについては、論文にまとめて現在投稿しているところである(食品科学工業学会誌)。
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