1997 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児における認知過程の分析と認知特性に応じた教科学習援助法の開発
Project/Area Number |
09680250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
室橋 春光 富山大学, 教育学部, 教授 (00182147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 千春 富山大学, 教育学部, 助教授 (00186610)
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Keywords | 学習障害 / 言語性タイプ / 眼球運動 / 文章刺激 |
Research Abstract |
学習障害児・周辺児5名を対象とし、文章刺激(ひらがな平文・漢字文・縦書き・横書き、36文字・48文字)及び絵画刺激(隠し絵、細断絵、迷路)を用いて、眼球運動を測定した。学習障害児・周辺児は、WISC-Rにより言語性タイプと動作性タイプに分類された。その結果、文章刺激に対する反応時間では、言語性タイプの方が動作性タイプより長い傾向にあった。文章刺激では、言語性タイプの単位時間当たりの注視点数が動作性タイプよりも少なく、細断絵では、動作性タイプの単位時間当たりの注視点数が言語性タイプよりも少ない傾向にあった。言語性タイプの対象児では、文章刺激に対する視線は同じ行を何度も行き来し、単語や文章の切れ目に注視点がくることが少なかった。さらに、視線が行を逆向きに追っている場合もあった。ただし、同様のフォーマットをもつ文章刺激を繰り返し処理すると、少しずつ処理速度があがった。これに対して動作性タイプの対象児では、文章刺激に対する視線は、言語性タイプの対象児と同じ回数でより多くの行を追っていた。また、注視点は単語や文章の切れ目にくることが多かった。これらの結果は、言語性タイプは文章のフォーマットの処理に問題をもつことを示唆している。しかし、繰り返し処理すれば徐々に処理効率が向上することは、学習障害の特性を反映するものと考えられる。また、動作性タイプにおける注視点数には左右差が認められたが、言語性タイプでは明瞭ではなかった。このことは、障害タイプによって、大脳半球間の情報処理特性が異なることを示唆する。
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