Research Abstract |
マルチメディアの普及に伴い,画像,特に動画像を処理する機会が増加している.ディジタル化された動画像は極めて膨大な情報量を有するため,伝送或いはデータベース等へ蓄積する場合,符号化が必須となる.従って,画像に何らかの処理を施す場合,符号化されたビットストリームを利用することにより,演算負荷の低減が計られる.本研究の目的である静止画像の復号処理では,符号化パラメータの一つである動きベクトルの適用に関して検討中である.しかし,動画像符号化の国際標準MPEG等で符号化パラメータを導出する際,多大な演算を必要とするため,リアルタイムエンコーダは高価なものとなっている.そこで,本年度は画像処理アルゴリズム開発の前段階として,符号化パラメータの導出にしばしば用いられる動き補償予測誤差の標準偏差を推定する手法を検討した. MPEG1等を国際標準では,フレームを16×16画素で構成される矩形のマクロブロックに分割し,マクロブロック単位で種々の符号化パラメータを決定している.これらのパラメータの導出法はMPEGで規定していないものの,一般的に動きベクトルは動き補償予測誤差の絶対値和を,Intra/Non-Intraモードの判定や符号表の決定には,マクロブロック内の画素値及び動き補償予測誤差の分散,または標準偏差が用いられる.標準偏差を求める際,画素毎に乗算を行う必要があるため,演算コストが高い,本研究では,動き補償予測誤差の標準偏差を動き補償予測誤差の絶対値和より推定する手法を検討した.動き補償予測誤差をラプラス分布で近似した場合,動き補償予測誤差の標準偏差は,動き補償予測誤差の絶対値和に比例することを証明した.また,実際の動画像に対し,提案手法と定義式により標準偏差を求めて比較した結果,提案法の近似度が高いことを確認した.
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