Research Abstract |
本研究では,兵庫県南部地震で斜面崩壊した地域を航空写真と現地調査で読みとり,その地域の六甲花崗岩を蛍光X線を用いて化学分析を行った.その結果,斜面崩壊地においては六甲花崗岩は断層に沿う熱水により変質し,黒雲母が分解し,2次的に磁鉄鉱が生じ,磁鉄鉱系花崗岩となっていることが明らかとなった.そのため,花崗岩は著しく風化作用が進行し,深部まで風化しており,脆くなっている.この磁鉄鉱系花崗岩と斜面崩壊多発地域はよく相関している.また,降雨により斜面崩壊が拡大している所で沸石脈が生じていることが判明した.この沸石脈は水分を含むと膨張し,この脈を境に急速に滑ることも判明した.特に,鶴甲地域では連続雨量110mmを超えると崩壊すえはることも明らかとなり,降雨と崩壊拡大との定量的な関係も明らかとなってきた.また,年次ごとの航空写真から,神戸市西部で降雨により崩壊が進行していることも判明した.神戸市の人工改変地を年次ごとの地形図と航空写真から解析し,地震被害との関係を検討した結果,人工改変地で被害が著しいことが判明した.特に,谷埋め埋土地域で被害が著しい.そこでは地下水位が2m未満と浅く,集水領域となっており,しかも地下水位が傾斜しているため,地盤が滑り,谷上方では引っ張りが,下方では圧縮力が働くなど地盤変状が生じ,家屋が倒壊するケースが多いことも明らかとなった.なお,斜面崩壊や土石流,液状化などの調査の参考に,鹿児島針原地区,雲仙,新潟におもむき資料収集や比較調査を行った.
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