1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680479
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00224840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 憲司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (10027443)
田崎 誠司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (40197348)
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Keywords | スーパーミラー / レプリカ / 極冷中性子 / 冷中性子 / 多層膜 / 蒸着 / 自立膜 / 銅メッキ |
Research Abstract |
通常利用されているスーパーミラーは、シリコンウエファーまたはフロートガラスを基板として作られているが、シリコンウエファーではミラーサイズに制限があり、またガラス基板では原子炉炉心近傍の様な過酷な環境下で耐えることができないという制限がある。極冷中性子のような極めてエネルギーの低い中性子を効率よく取り出すため、金属基板を有する耐放射線性スーパーミラーをレプリカ法によって開発することが本研究の目的である。スーパーミラーの製作には、京大原子炉実験所に整備されているスーパーミラー製造装置を利用した。この装置によりフロートガラス上へスーパーミラー蒸着を行った後、銅を電着し、それをフロートガラスからはがすことによって薄型金属基板スーパーミラーを製作した。この金属基板スーパーミラーを京大炉熱中性子導管及び原研JRR-3M冷中性子導管に設置されている中性子反射率計を用いて特性測定を行った。平成9年度に本手法による製作方法を確立した後、平成10年度にはスーパーミラーの最適膜厚構造及び最適基板作成条件を求めた。その結果、全反射臨界速度をニッケルの2倍程度にまで改善することができた。また、本方式によって製作したレプリカスーパーミラーの反射率は、ガラス基板上のスーパーミラーとほぼ等しい。つまり、銅メッキによる金属基板作成方式による薄型基板スーパーミラーでは、その支持方法を適切に選ぶことにより、十分満足できる反射率が得られることが明らかになった。ただし、薄い基板を有するため表面がうねりやすく、平面が曲がらないような適切な支持方法を用いることが必要である。しかし極冷中性子の取出しの場合には、スーパーミラー自体の全反射臨界速度が大きく、さらに極冷中性子の全反射臨界角も大きいことから、この鏡表面のうねりが中性子反射率に及ぼす効果は比較的小さく、十分実用に供することが可能だと考えられる。
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[Publications] Y.Kawabata et al.: "Production and Neutron Reflectivity of upbia supermirror" Nucl.Instr.and Meth in Phys.Res. A420. 213-217 (1990)
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[Publications] 川端祐司: "レプリカスーパミラーの開発" 波紋. Vol.8 No.3. 21-22 (1998)