1997 Fiscal Year Annual Research Report
変動強磁界が培養細胞膜のCa^<2+>依存性K^+チャネルに及ぼす阻害作用機序の解析
Project/Area Number |
09680526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
池原 敏孝 徳島大学, 医学部, 講師 (40111033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會沢 勝夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40074645)
細川 敬子 徳島大学, 医学部, 助手 (10116858)
山口 久雄 徳島大学, 医学部, 助教授 (90035436)
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Keywords | K^+チャネル / 細胞内Ca^<2+> / 変動磁界 / FT-IR赤外分光 / HeLa細胞 / 誘導電流 / クロマフィン細胞 / 細胞膜蛋白質 |
Research Abstract |
1.ヒト子宮頚癌細胞由来のHeLa細胞の外液を高K^+実験液(一部K^+をRb^+と置換)に交換した。このとき測定したK^+(Rb^+)内向き輸送は,細胞内Ca^<2+>依存性K^+channel阻害剤により阻害され、このK^+キレート剤,Ca^<2+>(Rb^+)輸送の多くがCa^<2+>依存性K^+チャネルを介するとされた。この細胞を最大1.7Tの変動磁界に曝し、このK^+(Rb^+)取り込みへの影響を調べた。 2、1時間以上の磁界曝露はこのK^+(Rb^+)取込みを阻害した。 3、蛍光法を用い細胞内Ca^<2+>濃度を測定した。高K^+液への置換は細胞膜脱分極を誘導、電位依存性Ca^<2+>チャネル、細胞内小胞のCa^<2+>放出の2経路による細胞内Ca^<2+>濃度の持続的上昇を生じさせ、強磁界曝露はこのCa^<2+>濃度増加を抑制、正常濃度を保持させた。この結果は曝磁によるK^+チャネル活性阻害がCa^<2+>濃度増加抑制による可能性を示唆した。 4、磁界曝露によりCa^<2+>濃度上昇が抑制された細胞を磁界外に置き、Ca^<2+>濃度の時間経過を見た。時間と共にCa^<2+>濃度が上昇、6分以降は高K^+液に置いた対照群の細胞と同レベルに達した。この結果は、磁界による阻害作用は可逆的であることを示した。 5、フーリエ変換赤外分光計を用い、浮遊HeLa細胞膜表面への最大800ガウス,50Hzの変動磁界の影響を調べた。この実験で細胞膜表面負電荷の増加と、膜蛋白質構造変化の可逆的な影響を示すデータをえた。他の膜成分への影響は解析中である。 7、現在副腎髄質由来のクロマフィン細胞の各種アゴニスト作用により生じる一過性の細胞内Ca^<2+>増加に対する上記変動磁界の影響を調べている。この磁界はCa^<2+>濃度増加を有意に阻害し、特にCa^<2+>除去液中ではその上昇がほぼ完全に阻害することが解った。おそらく細胞内小胞よりのCa^<2+>放出が著しく抑制されるものとみられる。現在もその解析実験を継続中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ai-Wu Pan et al.: "Blood flow in the carotid artery during breath-holding in relation to diving bradycardia." Eur.J.Appl.Physiol.75. 388-395 (1997)
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[Publications] 朴基豪 他: "変動強磁界が細胞膜イオン輸送に及ぼす影響" 日本生体磁気学雑誌. 10. 114-115 (1997)
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[Publications] Ikehara,T.et al.: "Effects of strong magnetic fields on membrane ion transport of cultured cells." Technical Report of IEICE. MBE97-40. 7-12 (1997)
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[Publications] Hayashi,J.et al.: "Change in chemical composition of lipids accumulated in atheromas of rabbits following photodynamic therapy." Lasers in Surgery and Medicine. 21. 287-293 (1997)
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[Publications] Hosokawa,K.et al.: "Role of cyclin B on growth recovery by addition of insulin and LDL in K+depleted synchronized HeLa cells" Jpn.J.Physiol.47. S46 (1997)
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[Publications] Ikehara,T.et al.: "Effects of magnetic fields on Ca^<2+>-dependent K^+ channel in HeLa cells" Jpn.J.Physiol.47. S57 (1997)
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[Publications] Park,K.H.et al.: "Electricity and Magnetism in Biology and Medicine," Plenum Press(in press),