1997 Fiscal Year Annual Research Report
中性子線の生物作用のエネルギー依存性とリスク評価の研究
Project/Area Number |
09680530
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
窪田 宜夫 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教授 (20046139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 賢志 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)
鈴木 雅雄 放射線医学総合研究所, 第3研究グループ, 研究員 (70281673)
稲田 哲雄 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50114038)
|
Keywords | 中性子線 / エネルギー依存性 / 突然変異 / HPRT / V79 / クロマチン損傷 |
Research Abstract |
低エネルギー中性子線の生物作用のエネルギー依存性について、広島大学の生物照射用単色中性子発生装置(HIRRAC)を用いて、細胞致死効果およびヒポキサンチン-ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子の突然変異誘発をV79細胞で検討した。研究は現在はまだ進行中であるため、確定的なデータではないが、細胞致死はCs-137ガンマー線に比べて中性子線では非常に大きな効果が観察された。また中性子線のエネルギーが1.2MeV,0.57MeV,370MeVと低くなるに従い、RBEは大きくなった。一方、HPRT遺伝子の突然変異は、細胞致死効果と同様にCs-137ガンマー線に比べて、大きな誘発効果が観察されたが、0.57MeVで最も誘発頻度が高くなる結果であった。現在、この現象が有為差をもって見られるかどうか、さらに実験を重ねているところであるが、原爆放射能の中性子線の影響の観点からも興味深い結果である。さらにHPRT突然変異のクローンを回収し、HPRT遺伝子の9つのexonにどのような欠失が起こっているかを多重PCRで検討しているが、中性子線誘発の変異クローンでは、すべてのexonが欠失しているクローンが多くみられ、中性子線の損傷の質がガンマー線のそれとは大いに異なることが示唆される。現在、さらに多くのクローンについて解析中である。 また、ヒトの正常線維芽細胞を使用して、染色体のクロマチン損傷に対する中性子線のエネルギー依存性についてPremature Chromosome Condensation(PCC)法で、調べている。0.57MeV中性子線では、細胞致死効果はV79と同様に非常に大きく、照射後にrepairされないクロマチン損傷はRBEが約5.0であった。さらに他のエネルギーについて実験を進める予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] N.Kubota: "Induction of a particular deletion in mitochondrial DNA by X-rays depends on the inherent radiosensitiviy of the cells" Radiat.Res.148. 395-398 (1997)
-
[Publications] M.Suzuki: "LET dependence of cell death and chromatin-break induction in normal human cells irradiated by neon-ion beams" Int.J.Radiat.Biol.72. 497-503 (1997)