1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンを添加した過酸化水素水溶液を用いたシリコーンへの生体活性の付与
Project/Area Number |
09680854
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大槻 主税 岡山大学, 工学部, 助教授 (00243048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 聡 岡山大学, 工学部, 助手 (20263618)
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Keywords | 医用材料 / 生体活性材料 / 細胞適合性 / 表面処理 / シリコーン / 細胞培養 / アパタイト / シラノール基 |
Research Abstract |
本研究は,TaCl_5を含む過酸化水素水溶液により化学処理したシリコーンの表面構造と生体活性ならびに生体親和性の関連を明らかにすることを目的とする。即ち,TaCl_5を含む過酸化水素水溶液のTaCl_5および過酸化水素濃度,処理温度を変えてシリコーン表面を処理し,処理条件の違いが表面構造に与える影響を調べる。次いで得られた試料の擬似体液中におけるアパタイト形成と生物学的挙動を細胞培養ならびに動物実験により調べることで,シリコーン表面が生体活性を表現する機構を検討する。 シリコーンエラストマーの表面処理と擬似体液中におけるアパタイト形成を調べた。市販のシリコーンエラストマーから板状試片を切り出し5mMのTaCl_5を含む過酸化水素水溶液中に浸漬し,60℃で7日間保持した。得られた試片を蒸留水で超音波洗浄器を用いて洗浄した後,室温で乾燥させた。表面処理した試片をヒト体液とほぼ等しい無機イオン濃度,液温及びpHを有する擬似体液に種々の期間浸漬した。擬似体液浸漬前後の試料の表面構造を薄膜X線回折,FT-IR反射分光分析,SEM観察により調べ,そのアパタイト形成能,即ち生体活性を評価した。試片浸漬後のイオン濃度変化を高周波誘導プラズマ(ICP)発光分光法により測定した。さらにいくつかの試料については,X線光電子分光(XPS)法により表面の化学状態を調べた。その結果シリコーン表面がアパタイトの形成を誘起するには,表面にシラノール基が生成することに加え,タンタル酸水和ゲルが材料表面に残存することが重要であることが明らかになった。さらに周囲の擬似体液の過飽和度の上昇がアパタイト形成を促すことから,タンタル酸ゲルへのカルシウムやアルカリ金属の導入が有効であることが推定された。
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