1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710108
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
竹西 亜古 甲子園大学, 人間文化学部, 講師 (20289010)
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Keywords | 心理的公正 / 手続き的公正 / 公正判断 / 消費税 |
Research Abstract |
消費税導入から8年を経る平成9年4月、従来の3%から5%へ税率が引き上げられた。本研究の目的は、新税率消費税に対する国民の反応を、心理的公正面において調査・分析し、特に、導入時に行われた研究との比較において、公正判断基準の安定性と変動性を明らかにすることである。データは、確立比例抽出法による京都市有権者1000人を対象し、郵送訪問回収法による調査によって集められた。有効回収された563標本を用い、最尤法による因子分析を行ったところ、2因子が抽出された(累積説明率54.5%)。バリマックス回転後の構造から、第1因子は「手続き的公正」、第2因子は「結果の(分配的)公正」と解釈された。消費税導入時の分析結果(Takenishi,M.& Takenishi,A.1990,Social Justice Research,Vol.4,251-264;Takenishi,A.&Takenishi,M.1992,Social Justice Research,Vol.5,415-492)と同様に、回答者は、5%消費税を評価する際に「結果(負の分配に対する不満度・不公正感)」と「手続き(税率引き上げまでの審議十分性・公開性・発言・配慮感・税の使途)」を分離し、評価していた。税制評価において、「手続き的公正」と「結果の公正」の2次元が、安定した判断基準であることが示された。これら2つの公正が、新税率消費税への心理的受容与える影響を検討するため重回帰分析を実行したところ、自由度調整済み重相関係数は0.565(p<.001)、標準化されたβは、結果の公正=.691、手続き的公正=.113(いずれもp<.001)であった。手続き的公正の判断基準を明らかにするため、各手続き要素を従属変数に取った重回帰分析を行ったところ、発言を除く4基準(審議十分性・公開性・配慮感・使途)の影響が認められた。導入時研究との比較から、国による政策決定に対する国民の手続き的公正判断では、審議十分性が安定した基準である一方、発言は変動的であることが明らかにされた。
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