1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍由来増殖遺伝子の阻害による神経膠腫細胞に対する遺伝子治療の実験的研究
Project/Area Number |
09771041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 潤 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80252435)
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Keywords | basic fibroblast growth factor / glioma |
Research Abstract |
我々は、basic FGFが、ほぼ全ての神経膠腫において、basic FGF及びその受容体が多量に発現していることを発見し報告した(PNAS.1990;BBRC.1991;Neurosurg.1994)。また、悪性度の高い神経膠腫ほど、basic FGFの発現度が高く(J.Neurosurg.1991)、このbasic FGFの過剰発現は、basic FGF promotorの転写活性の昂進によるものであり、この転写活性はwild type P53で調節されている(PNAS.1994)。この増殖因子の神経膠腫における生物学的意義を検討するため、マウスモノクローナル抗ヒトbasic FGF中和抗体で腫瘍由来のbasic FGFを阻害したところ、神経膠腫細胞の増殖及び腫瘍形成能が著明に抑制された(FEBS Lett.1991)ことから、basic FGFは、autocrine growth factorとして、神経膠腫の自己増殖や悪性化に関与している可能性を示唆してきた。そして、この抗体による腫瘍由来のbasic FGFの阻害は神経膠腫細胞にapoptosisを誘導している(J.Neurosurg.1996).現在、抗basic FGF中和抗体のハイブリドーマから、同抗体遺伝子のクローニングを行い、H鎖、L鎖の可変領域のcDNAを作成をした。さらに、この両鎖cDNAにヒトH鎖、L鎖の定常領域のcDNAを各々連結し、ヒト型定常領域を持った抗basic FGF抗体のキメラ抗体を作成した。上記キメラ抗体遺伝子を組み込んだプラスミド発現ベクターをミェローマ細胞へ遺伝子導入させ、産生される中和抗体の力価、basic FGFに対する特異性を検討している。
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