1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性呼吸不全患者に対する呼吸リハビリテーションと栄養指導に関する研究
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09772103
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福山 由美子 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助手 (90238519)
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Keywords | 慢性呼吸不全 / 栄養評価 / PNI |
Research Abstract |
慢性呼吸不全患者は呼吸筋疲労と食欲低下のため栄養状態が低下し、低栄養状態になると易感染性となり、入院回数や期間が増加して患者のQOLが低下するといわれている。呼吸不全患者の栄養指導の指標とするため、今回、入院時における動脈血酸素分圧と各種栄養評価との関連を検討した。 対象は、慢性呼吸不全患者80名(男63名、女17名)、平均年齢70.0±7.8歳(46〜87歳)で、主な疾患は肺気腫、結核後遺症、間質性肺炎である。入院時室内呼吸における動脈血酸素分圧により、60mmHg以下のI群(n=24)、61〜70mmHgのII群(n=20)、71mmHg以上のIII群(n=36)に分けて検討した。なお呼吸機能は、VC、%VC、FEV1.0、FEV1.0%とも低下し、I群<II群<III群の順であったが、3群間に有意差はなかった。 肥満度の指標である%標準体重(%IBW)はI群88.5±15.3、II群89.0±19.6、III群88.2±13.5、BMIはI群19.4±3.3、II群19.6±4.3、III群19.4±2.9と軽度低下していたが、3群間には有意差はなかった。体脂肪率(近赤外線、インピーダンス法)も軽度低下し、3群ともやせの傾向にあったが、有意差はなかった。また、上腕背部と肩甲骨下部の皮下脂肪厚も低値を示したが、有意差はなかった。このように身体測定による栄養評価はいずれも低下傾向を示すものの動脈血酸素分圧との相関は認められなかった。 血液検査では、血清総蛋白とアルブミンは3群間とも正常範囲にあり、有意差はなかった。一方、予後栄養指標(PNI)はI群43.2±10.7、II群32.0±15.2、III群33.9±16.4とI群で高かった。 今回の調査では、慢性呼吸不全患者では消化器疾患や悪性疾患患者と異なり、肥満度、体脂肪率、アルブミン値などよりも予後栄養指標が呼吸不全と相関することが示唆された。今後さらに、患者の長期予後とADL、栄養指導や呼吸リハビリテーションの効果についても検討していきたい。
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