1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780126
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪本 裕之 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40291570)
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Keywords | 賃貸オフィス供給 / 都市空間構造 / オフィス需要行動 / 空間的分化傾向 |
Research Abstract |
本研究は,賃貸オフィス供給の企業立地に及ぼす影響と,その空間的範囲を明らかにすることを目的としている.本年度は,東京中心部における賃貸オフィス市場の空間構造について考察し,従来の都心を核とした都市空間構造の変容を,バブル期以降の変動に着目し言及する. まず,オフィス供給床面積はバブル期以降増加している.しかし,需要床面積も一時大幅に減少したものの,その後供給と同様に増加の傾向にある.特に,供給と同じペースで増加しており,昨今のビル不況は主として供給過剰に依るところが大きいといえるが,この傾向は都市空間のさらなる変容の契機となっている.バブル期にみられた賃貸料の地区間格差は供給過剰によって縮小しており,地区内の差も同様に縮小している.賃貸料の設定には竣工年よりも床面積規模が影響する.これはフロア面積を重視する結果であるが,賃貸料設定における柔軟性は竣工年の方に差があり,新規竣工のものほど賃貸料を状況に合わせて設定でき,競争力を有している. さらに,開発リスクの回避と差別化戦略によって,オフィス市場は地区間相互に影響しあい変動していることから,東京の賃貸オフィス市場における空間的分化の可能性を考察した.オフィス市場の多重的構造について詳細に分析するため,グローバリゼーションの指標となる外資系企業の立地とオフィス供給の関係に着目した.賃貸料低下や規制緩和,為替変動など外資系企業を取り巻く環境は変化しており立地移動も活発であるが,一方で非熟練サービス企業の集積による地域市場化も進行しており,オフィス市場は分化傾向にあると考えられる. 以上,明らかとなった点については,すでに学会において中間発表を行った.同様に,大都市圏内の中核都市,および市場規模の小さな地方都市におけるオフィス市場の空間構造についても,調査を行っている.
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