1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNA塩基配列による日本産アゲハチョウ科チョウ類の分子系統進化
Project/Area Number |
09839014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 孝司 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80182301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒谷 邦雄 京都大学, 人間環境学研究科, 助手 (10263138)
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Keywords | 分子系統学 / 分子進化 / ミトコンドリア / ND5 / チョウ目 / アゲハチョウ |
Research Abstract |
日本産アゲハチョウ科、及びアゲハチョウ上科の種間系統関係は、これまで形態・生態による解析がなされてきたが、分子による解析はほとんどなされていない。本研究の目的はミトコンドリアDNAのNADH脱水素化酵素サブユニット5(NADH dehydrogenase subunit5;ND5)遺伝子をコードしている領域の一部(783塩基対)をシークエンスし、塩基配列による分子系統樹を描くことである。 日本産アゲハチョウ科ほぼ全種と各科数種の系統樹を描いたところ、アゲハチョウ科が単系統群をなした。その他の科の関係は、ブートストラップ確率が低かったり、NJ法とMP法とで樹形が変わったりした。科の間の関係を知るには、ND5よりも進化速度の遅い遺伝子を用いるか、複数の遺伝子を用いて解析する必要があると考えられる。 さらに、ヒオドシチョウを外群にアゲハチョウ科の系統樹はNJ,MP,MLの各方法で樹形は良く一致した。UPGMA法においては他の方法と樹形がだいぶ異なった。これは、NJ法およびML法の樹形において、種によって枝の長さが大きく変わることから、種の間で進化速度の一定性が保たれていないためと考えられる。アゲハチョウ科の系統樹では、ウスバアゲハ亜科(ウスバシロチョウ族とギフチョウ族)が単系統群を形成しないこと以外は形態によるこれまでの分類を支持する。 アゲハチョウ科のより詳しい系統関係を知るために、世界のアゲハチョウ科(Papilionidae)の全亜科・族を対象にした同様の解析を進める予定である。また真正アゲハ族・Achillides亜属の各種について詳しい解析を行う予定である。
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