1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山崎 柄根 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90008714)
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Keywords | キリギリス類 / 種分化 / 直翅類 / 分類 |
Research Abstract |
本年度のキリギリス類ならびにその近縁の群の調査は、前年にひきつづき冷夏の傾向があったことで、昆虫の発生が不安定で、成虫の発生時期がきわめて短く、時期をはずすとほとんど材料が採れないなどの、予定外のことがあった。また一方、通常の年にはさほど多くはみられないものが、異常に多いという現象がみられた。とくにヤブキリなどはその例であった。しかし、このようなことは例外的なので、効率を考え本年度の調査はなるべく短時日にし、昨年できなかったところを補うことに重点を置き、染色体の調査などを行なった。また微細構造をみるため、走査型電子顕微鏡で発音器の構造を調べた。この間できるかぎりサンプリングし、材料をアルコールに浸け、DNAライブラリー用の資料として保存した。またアロザイム分析のために冷凍して材料を持ち帰り、超低温フリーザーに保存した。これらは来年度の材料と併せて、分析する予定である。 一方、録音による音声の比較と行動の調査も行い、とくに音声とテリトリーの関係について調べるとともに、ソナグラムでうまく分析できない音声について、メモリハイコーダーで分析し、パターン化することに成功した。これによりキリギリス類の固有な鳴き声の起源を調べることが可能になったと考えている。またキリギリス類は発音時超音波を発生させるが、どの程度の範囲の超音波を出しているのか調べたが、どの種がどの程度出すかがわかってきた程度で、完全な数値化まではできなかった。来年度の課題である。
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