1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839025
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Research Institution | TOKYO METOROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 柄根 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90008714)
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Keywords | キリギリス類 / 種分化 / 直翅類の分類 |
Research Abstract |
本年度の大きな収穫は、キリギリス類の中でももっとも小型のグループであるササキリ類に新種1種が発見されたことである。本種は関東地方特産と思われ、荒川下流域を生息地としているようで、本年度はもっぱらこの種の発見に努めるため、荒川での調査を集中的に行った。おそらくこの種は低湿地性ないし気水性のよし原に生息するトンボ類と同じ分布様式をもっているとも考えられるので、本種の由来を考えるのに参考になるものと考えられ、この点を重視して調べた。現在、新種記載をするために、文献などの調査に当たっているが、系統的には東南アジアまたは中国南部に関連が考えられるかもしれない。さらに沖縄地方に分布する種の系統関係について検討を加えた。 一方、直翅系昆虫の分子からみた系統の構築は、対象動物群が古生代以来の古い群であるために分子の選択がむずかしく、試行段階にとどまった。しかし、形態などの形質から仮説的ながらキリギリス類の系統を組み立て、日本列島産のものがどのようなルートを通って分布を広げたかを検討しつつある。東南アジア由来か中国南部由来によるものかを識別して考察を行っている。 録音による音声の比較では、昨年から行っている新しい音声のパターン化に取り組んだ。とくにメロディアスな音調をもつ種とそうでない種との比較を野外観察を通じ、音声の特化形質について考察を行った。音声の進化はおそらく系統と関連していると考えられ、性的な選択が働いているとの仮説から、飼育実験などを行った。
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