1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09CE2003
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Research Category |
Grant-in-Aid for COE Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 厚人 東北大学, 理学部, 教授 (00100818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末包 文彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10196678)
阿部 浩也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60004412)
吉村 太彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70108447)
橋本 治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50092292)
山口 晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004470)
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Keywords | ニュートリノ / 原子炉反ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 太陽ニュートリノ / 光電子増倍管 / ニュートリノ質量 / 地球内部反ニュートリノ / 液体シンチレータ |
Research Abstract |
平成9年度は、神岡実験室の改造設計、検出器の設計、高時間分解能光電子増倍管の開発、液体シンチレータの開発、データ収集電子回路の設計、実験装置及びデータ解析モンテカルロ・プログラムの整備、物理解析モンテカルロ・プログラムの開発、2m^3液体シンチレータ検出器によるテスト・ベンチの建設及びテスト実験、ニュートリノ科学の理論的研究を中心に行った。 [神岡実験室の改造設計] 神岡実験装置は現在は東京大学宇宙線研究所の管轄になっているが、平成10年度4月より東北大学に移管するため、神岡実験研究者の間、及び物品の所有機関である東京大学、高エネルギー加速器機構の事務局と東北大学事務局の間で移管の準備作業を行い、平成9年12月の時点で殆どの移管業務の手はずが整った。これによって、平成10年度4月から東北大学が神岡実験装置を本研究のために使用する準備が完了した。 本実験で使用する液体シンチレータは危険物第4類第3石油類であるため、消防庁の指導により神岡実験室は、危険物貯蔵所として認定されることになった。このため、坑道拡幅工事、電源・空調工事、防災監視工事、防火壁取付け工事の設計を行い、平成10年度から施行する実験室改造の青写真ができ上がった。 [検出器の設計] 研究目的を遂行するために最適な検出器の設計を、実験装置モンテカルロ・シミュレーションを用いて行った。その結果、5,400m^3超純水外槽の中にステンレス製2,500m^3球形流動パラフィン槽、さらにその中に透明プラスチック製1,200m^3液体シンチレータ槽を配置した検出器が、本研究に最も適していることになり、それぞれの装置の設計を行った。 [高時間分解能光電子増倍管] 液体シンチレータの発光を検知する光電子増倍管の高時間分解能特性は、素粒子反応の発生点の測定精度の向上、重粒子である中性子や陽子、アルファ粒子と軽粒子である電子、陽電子、ガンマー線との粒子識別能力の向上、シンチレーション光とチェレンコフ光との識別能力の向上等に重要である。このため、大口径20インチ光電子増倍管を改造して1光電子相当光に対する時間分解能1ナノ秒、立ち上がり時間10ナノ秒、立ち下がり時間10ナノ秒を持つ、高時間分解能17インチ光電子増倍管の開発に成功した。これによって、高性能検出器の実現が可能となった。 [液体シンチレータの開発] 1,200mm^3もの多量の市販品液体シンチレータを購入するには、莫大な経費を要する。このため、大発光量で重粒子/軽粒子発光差の大きい液体シンチレータの開発を行った。現在2〜3種の有力な液体シンチレータ候補の合成に成功し、性能試験を続行している所である。今後は化学者の応援を得て、さらに詳細な合成方法を確立する予定である。 [物理解析モンテカルロ・プログラムの開発] 本研究目的の中で、最も資料が不足していて検討が不十分であった、地球内部の地殻やマントルに含まれているウランやトリウムの自然核分裂によって発生する反ニュートリノの検出率について、地球物理学者の応援を得て評価を行った。 この結果、現在最も信頼されている地球内部ウラン、トリウムの推定含有量を考慮すると、本研究では年(40-150)例の検出が可能であることが判った。しかも、地球内部反ニュートリノのエネルギー分布は、鋭いピーク状であり原子炉反ニュートリノと十分区別して検出されることが示された。このことは、本研究で初めて、地球内部反ニュートリノの検出が期待されることを示唆するものであり、地球内部エネルギー生成の謎が解き明かされる可能性が大きくなった。研究結果はPhys.Rev.Lett.誌に掲載された(80(1998)635)。 [2m^3液体シンチレータ検出器テスト・ベンチの建設、実験] 実験装置を開発するには、設計、試作、性能検査を行わなければならない。性能検査はできるだけ実際の実験装置と類似の装置を用いることが必要である。このため、2m^3液体シンチレータ検出器を建設して、液体シンチレータの開発、光電子増倍管の開発、データ収集電子回路の開発、実時間データ収集電子計算機システムの開発、液体シンチレータ純化装置の開発等に資するテスト・ベンチ実験を行う準備が整った。実験は平成10年1月から始まった。
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Research Products
(27 results)
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[Publications] A.Suzuki, et al.: "Measuring the global radioactivity in the earth by multidetector antineutrino spectroscopy" Phys.Rev.Lett.80. 635-638 (1998)
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[Publications] A.Suzuki, et al.: "LARGE SCALE ANISOTROPY OF THE COSMIC RAY MUON FLUX IN KAMIOKANDE." Phys.Rev.D・56. 23-26 (1997)
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[Publications] O.Hashimoto et al.: "Structure of light Λ hypernuclei and the Λ N interaction" to be published in Nuclear Physics. A.
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[Publications] O.Hashimoto: "Weak decay of medium-heavy Lambda hypernuclei studied with the SKS spectrometer" Proceedings of the 3rd Japan-China Symposium on Nuclear Physics.
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[Publications] O.Hashimoto et al.: "The πkr and light Λ hypernuclear spectroscopy" to be published in Nucl.Phys.A.
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[Publications] S.Saikan et al.: "Femtosecond Study of S2 Fluorescence in Malachite Green in Solutions" to be published in Chem.Phys.Lett.
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[Publications] S.Saikan et al.: "Quasielastic Light Scattering from Rutile" to be published in Phys.Rev.B.
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[Publications] S.Saikan et al.: "Accumulated Photon-Echo Spectroscopy for Selectively Stained DNA in Tissue Samples" to be published in J.Opt.Soc.Am.
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[Publications] S.Saikan et al.: "A novel method for the derivation of 1-phonon function" to be published in Phys.Rev.B.
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[Publications] M.Yoshimura et al.: "Quantum System under Periodic Perturbation : Effect of Environment" Phys.Rev.D・55. 4614-4639 (1997)
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[Publications] M.Yoshimura et al.: "Quantum Dissipation in Open Harmonic Systems - Operator Solution and Application to Decay Process -" Prog.Theor.Phys.98. 9-28 (1997)
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[Publications] M.Yoshimura et al.: "Quantum Dissipation and Decay in Medium" Phys.Rev.A・57. 798-805 (1998)
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[Publications] M.Yoshimura: "Elementay Processes in Dissipative Cosmic Medium" in the Proceedings of “The Cosmological Constant and Evolution of the Universe" and hep-ph/9702288. (1997)
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[Publications] M.Yoshimura et al.: "Elementarity in Open Systems - Unstable Particle in Medium" in Proceedings at AIJIC97 on “Recent Developments in Nonperturbative Quantum Field Theory", (World Scientific) and hep-ph/9708354.(1997)
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[Publications] J.Shirai et al.: "EXPERIMENTAL STUDY OF HIGH-ENERGY ATMOSPHERIC NEUTRINOS IN KAMIOKANDE" (Tokyo U.,INS). HEPEX-9706008. 1-10 (1997)
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[Publications] F.Suekane: "THE 1000-TON LIQUID SCINTILLATION DETECTOR PROJECT AT KAMIOKA (KAM-LAND)." TOHOKU-HEP-97-02. 1-7 (1997)
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[Publications] M.Nakahata et al.: "Measurements of the Solar Neutrino Flux from Super-Kamiokande's First 300 Days" to be published in Phys.Rev.Lett.(1998)
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[Publications] M.Nakahata et al.: "Calibration of Super-Kamiokande using an Electron LINAC" to be published in Nucl.Instr.and Meth.(1998)
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[Publications] M.Nakahata: "Neutrino masses and Oscillations" International Europhysics Conference on High Energy,August 19-26,1997,Jerusalem,Israel.(1997)
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[Publications] M.Nakahata: "Results from Super-Kamiokande" APCTP Workshop : Pacific Particle Physics Phenomenology,October 31 - November 2,1997,Seoul,Korea.(1997)
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[Publications] S.Tasaka: "Radon,Cl,and SO4 anomalies in hot spring water associated with the 1995 earthquake swarm off the east coast of the Izu Peninsula,centeral Japan" to be published in Applied Geochemistry.
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[Publications] S.Tasaka: "静電捕集型超高感度空気中ラドン検出器の開発" RADIOISOTOPES. 46,10. 10-19 (1997)
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[Publications] M.Yamaguchi et al.: "The Formation of Cosmic Structures in a Light Gravitino Dominated Universe" to be published in Phys.Rev.D.
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[Publications] M.Yamaguchi et al.: "Supersymmetry Breaking and Soft Terms in M-Theory" Phys.Lett.B・415. 24-30 (1997)
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[Publications] 吉村太彦(共著): "ニュートリノと重力波(第7章)" 裳華房, 257 (1997)
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[Publications] 田坂茂樹: "地球-地殻化学のフロンティアー" 海洋出版株式会社, (1997)
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[Publications] 鈴木厚人(共著): "ニュートリノと重力波(第5章)" 裳華房, 257 (1997)