2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム二核錯体の二量化に基づく高機能水素生成触媒の開発
Project/Area Number |
09J05859
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 早弥 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水の可視光分解 / 光水素発生 / ロジウム二核錯体 / プロトン共役電子移動 |
Research Abstract |
本課題では、金属錯体触媒を用いた水の可視光分解の研究において未解明な部分が多い反応機構の解明を目的とし、分子性光水素発生触媒として安定に機能するロジウム二核錯体を用いて研究を遂行している。犠牲還元剤のEDTA、光増感剤のRu(bpy)3^<2+>、電子伝達剤のMV^<2+>を含むpH=5の酢酸緩衝溶液中におけるロジウム二核錯体の光水素発生反応機構として、DFT計算の結果より、アキシャル位でプロトン共役電子移動(PCET)により水素発生が進行することが示唆された。プロトン源をH_3O^+、電子源をMV^+・としたときの、水溶液中における生成系の安定化のエネルギーは、約35kcal/molであり、水素発生反応が優位に進行することが分かった。 さらに、これらの実験に加え、新たな機能性錯体触媒を開発するため、ロジウム二核錯体とポリオキソメタレートを共有結合で連結した単一分子光触媒の合成も行った。ポリオキソメタレートは、光捕集、触媒作用、電子貯蔵能などの様々な機能を有することが知られており、光水素発生触媒として機能するロジウム二核錯体と連結することによって、多機能光触媒の構築を試みた。ロジウム二核錯体とC_<S5>[SiW_<11>O_<39>Sn(CH_2)_2COOH]を水中で反応させることにより、ポリオキソメタレートが架橋配位子として一置換したC_<S5>[Rh_2(O_2CCH_3)_3(O_2C(CH_2)_2SnSiW_<11>O_<39>)](1)が生成した。錯体1をEDTA、Ru(bpy)3^<2+>を含むpH=5緩衝溶液に溶解させ、アルゴン雰囲気下で可視光照射し、発生する水素ガスをガスクロマトグラフ分析法により定量したところ、電子伝達剤非存在下での水素発生を確認した。
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