2001 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境撹乱下における生物多様性の保全及び生命情報の維持管理に関する総合的基礎研究
Project/Area Number |
09NP1501
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川那部 浩哉 京都大学, 名誉教授 (60025286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 透 京都大学, 総合地球環境学研究所, 教授 (00281105)
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
北山 兼弘 京都大学, 生態研究センター, 教授 (20324684)
永田 俊 京都大学, 生態研究センター, 教授 (40183892)
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Keywords | 生物多様性 / 生態系 / 保全 / 人為影響 / 国際研究ネットワーク / 生物間相互作用 / 集水域 |
Research Abstract |
本研究計画の最終年度にあたり、成果統合委員会を結成し、研究成果の統合化を推進した。また、研究統合化・重点化計画に基づき、苫小牧およびマレーシア・サバ州のフィールド観測拠点での重点的観測を推進した。特に、熱帯山地の森林生態系において、生物多様性・生態系の諸特性の高度勾配を詳細に解析することにより、地域の種プールの存在が生態系・生物多様性の維持に及ぼす強い影響を新たに明らかにした。また、苫小牧における長期的なハビタート間相互作用実験を継続的に推進するとともに、そのデータ解析を行うことで、境界環境が生物多様性維持に果たす大きな役割を示すことに成功した。さらに、国際生物多様性観測年(IBOY)事業との共同で、西アジア太平洋地域の生物多様性インベントリーの集中的国際共同研究を推進した。以上の重点化研究に加え、各研究班では、個別研究のまとめと、研究班間での成果統合化の活動を行った。成果統合化委員会では、それらの結果を包括的に検討することで、新たな学問領域としての生物多様性科学の方法論と意義を明確化する研究を推進した。その結果、本研究計画の大きな目標である、生物多様性の保全に関する基盤的な指針として、1)生物群集を構成する多様な生物種-環境間の諸関係の全体すなわち相互作用ネットワークを保全することの重要性、2)長期的・広域的なスケールにおける保全対策の重要性、および、3)生息場所の異質性とランドスケープの相互作用が生物多様性の創出・維持に果たす役割の重要性、が抽出された。以上の成果を最終成果報告書のドラフトとしてまとめ、その内容は、平成13年11月に開催された成果発表会で公表した。この内容に関して、国内外の専門家による外部評価を受け、それに基づき報告書ドラフトの改訂を行ったのち、最終的な研究成果報告書を完成させた。
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[Publications] 日浦 勉: "森と川、それぞれの役割と相互作用-フィールドステーションで生物多様性と生態系機能を調べる。"科学. 71. 67-76 (2001)
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[Publications] Murakami, Ni., Nakano, S.: "Species-specific foraging behavior of birds in riparian fores"Ecological Research. 16. 99-110 (2001)
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[Publications] 中静(浅野) 透: "生態科学と時間スケール"科学. 71. 37-42 (2001)
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[Publications] Takeda, H., Abe, T.: "Templates of food-habitat resources for the organization of soil animals in temperate and tropical forests"Ecological Research. 16. 147-159 (2001)
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[Publications] Terashima, I., Mayazawa, S., Hanba, Y.T.: "Why are sun leaves thicker than shade leaves? -Consideration basedon analyses of CO_2 diffusion in the leaf"J.Plant Res.. 114. 93-105 (2001)
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[Publications] Toda, M.J., Lakim, M.B., Mohamed, M.B.: "The genus Colocasiomyia (Drosophilidae : Diptera) in Sabah : High species-diversity and utilization of aroid inflorescences"Sabah Parks Nature Journal. (In Press). (2002)
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[Publications] Nakashizuka, T., Stork N.: "Protocols for Biodiversity Research"Kyoto University Press, Kyoto, and Trans Pacific Press, Melbourn. 209 (2002)