Research Abstract |
本邦においても,障害者教育や障害児福祉の在り方で,地域に根ざしたありかたが重要視されている。また現在検討されているWHOの新しい定義でも,障害児がもつ内的要因(特徴や障害)と子どもをとりまく環境要因(物理的,社会的,精神的バリアー)があわさって,社会への参加状況が左右され,そのことが障害の程度をきめるという考え方になろうとしている。地域に根ざす,つまり地域に一市民として参加するために必要な支援システムの仕組みを明らかにしようとするのが,この研究の目的である。パートナーシップ形成のためには,保護者と専門家,専門家と専門家,組織と組織どうしのパートナーシップの構築が必須であり,文化的,行政的あるいは技術的な側面によって補弼される必要があることが明らかになった。このパートナーシップの形成は,いわゆる先進工業国だけではなく,途上国においても,そのリソースの少なさをパートナーシップでカバーしようとするCommunity Based Rehabilitation : CBRの考え方が出てきた。欧米諸国でも,アカウンタビリティーに応えるためにサービスの効率性をあげるためにパートナーシップを真剣に考えており,先進諸国,途上国を含めた全世界的な流れのなかで,パートナーシップ形成に注目していることは,本研究の目的が重要な意味をもっていることを示している。研究対象としては,アメリカ,カナダ,オーストラリア,ノルウェー,ニュージーランド,インドそれに韓国における制度,実践を研究し,パートナーシップ形成に考慮すべき様々なポイント,文化的な側面,制度的にどのように作られているか,運営されているか,パートナーシップ形成の精神を養うためには,どのような研修を行うのか,具体的な調査結果をもとに報告している。
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