1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10041065
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新原 道信 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (10228132)
川崎 賢一 駒沢大学, 文学部, 教授 (20142193)
加藤 哲郎 明治学院大学, 社会学部, 教授 (30115547)
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
伊丹 敬之 一橋大学, 商学部, 教授 (90017492)
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Keywords | 情報化 / 情報社会 / 情報技術 / 市民社会 / 開発=発展国家 / デジタルシティ / 福祉社会 / 情報民主主義 |
Research Abstract |
本年度の研究・調査計画は、情報社会化過程の類型として、アングロサクソン型(アメリカ)、北ヨーロッパ型(ドイツ・デンマーク)、南ヨーロッパ型(フランス、イタリア)、ラテンアメリカ型(メキシコ)、アジア発展国家型(シンガポール)の5つの類型がありうるという仮説のもとに立てられたが、計画を実施して結果、5つの類型は若干修正されざるを得ないことが分かった。アメリカに関しては、シリコンバレーを中心にして調査・研究が進められたが、シリコンバレーの情報化は、情報テクノロジーに通暁した起業家や先端的な専門・技術職の人々によって推進されており、そのモデルはアメリカ国内の各所において模倣されているものの、あまり成功した事例を見出すことはできなかった。そこで、アメリカ型をシリコンバレー型と、一般的に情報化の主要な担い手として考えられる企業型とに区分する必要があるとの暫定的な結論を得ることができた。またヨーロッパにおける情報社会化の研究からは、地理的な類型化よりも、自由と友愛の伝統にのっとった市民レベルから情報化推進してゆく市民社会モデル(アムステルダム等)、情報化を軸にして福祉社会の建設を目指す社会民主主義モデル(フィンランド等)、強い国家と強い市民社会の組み合わせによって情報化に取り組むモデル(フランス)、政府・企業・第三セクターを絡めて情報社会化を地域的に考えるモデル(イタリア)などを分節化する必要が明らかになった。さらに、アジアの発展国家モデルに関しては従来通り研究を続行する必要性を確認したが、メキシコの研究からは、支配層、中間層、圧倒的な従属階層の三層においてそれぞれ別様の情報化が進行していることがあきらかになり、その意味でラテンアメリカ型は様々なモデルの混合型ではないかとの知見が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 矢澤修次郎: "諸国民国家の情報社会化政策" 一橋論叢. 120巻第4号. 1-19 (1998)
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[Publications] 吉原功: "社会を精髄の形あるものとして示す-新聞とはどのようなメディアか-" 新聞研究. 99年3月号. 38-41 (1999)
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[Publications] 落合一泰: "<メキシコ的なるもの>の視覚化とその背後" 一橋論叢. 120巻4号. 516-537 (1998)
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[Publications] 新原道信: "そこに一本の木があって-サルデーニャのことがらが語る地域社会論のために" 『現文研』. No.74. 69-77 (1998)
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[Publications] 加藤哲郎: "20世紀社会主義とは何であったか" (社会主義理論学会編『20世紀社会主義の意味を問う』). 9-29 (1998)
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[Publications] 川崎賢一: "国際化と情報化" 石原邦雄編『社会学』. 56-63 (1998)
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[Publications] 伊丹敬之: "『第三の波』" NTT出版, 420 (1998)
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[Publications] 伊丹敬之: "『場のマネジメント』" NTT出版, 280 (1999)