1999 Fiscal Year Annual Research Report
平和貢献活動の国際比較分析-NGO・NPOにみる平和と環境保全の位相と変容-
Project/Area Number |
10041079
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
嶋矢 志郎 広島市立大学, 国際学部, 教授 (30264922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 克也 立正大学, 経済学部, 教授 (80062777)
東郷 育子 広島平和研究所, 講師 (30305792)
|
Keywords | NGO・NPO / 平和貢献 / 環境保全 / 平和観 / 環境(自然)観 / 平和と戦争 / 20世紀と21世紀 / 位相と変容 |
Research Abstract |
1.本研究の狙いは、日中米仏の4カ国を対象に、平和貢献と環境保全をめぐる諸活動の実態を調査して平和や環境をめぐる価値観の多様性を国際比較分析することにより、構造的な位相と動態的な変容を解析する点にある。 2.初年度には、日中両国での実査を実施、調査結果を集計、分析した結果、平和観や核問題などで日中の学識人の間には大きな落差があることがわかるなど新しい知見を得ることができ、朝日新聞(1999.9.5日付朝刊第2社会面、図付き85行4段見出し)及び読売新聞(1999.8.1日付朝刊第2社会面、61行3段見出し囲み記事)がその成果の一端を相次いで採り上げ、記事化してくれた。 3.新しい知見の主な諸点は、次の通り。 (1)平和の範囲について、日本では「世界・全人類まで」「地球・自然・宇宙まで」と答えたのが9割を超えたのに対し、中国は約4割に止まった。一方、「所属する国民・国家まで」と答えた人が日本では約3割にも満たなかったが、中国では4割を超えた。 (2)戦争に関する考え方では、「いかなる理由があろうと戦争は許されない」と考える人が日本では8割近くいたのに対し、中国では2割足らず。逆に「正当防衛など許される」と答えた人が中国では8割近くいた。 (3)核兵器について、日本では6割余りが「廃絶されるだろう」と答えたのに対し、中国では「永遠に廃絶されない」「代わる大量殺りく兵器が登場する」などと答えた人が6割を超えた。 4.平成11年度には、予定通り米仏両国の実査に入っており、この調査結果が得られ次第、集計・分析作業に入り、いよいよ日中米仏の4カ国に亘る国際比較分析作業に着手する。この分析結果を見ながら、平成12年度には日中米仏の4カ国に亘る環境・自然・文明等の価値観の多様性を探る最終実査に入り、すでに得ている平和と戦争をめぐる価値観との多重解析作業に入る予定である。
|