1998 Fiscal Year Annual Research Report
μ-e^+γ実験のための大強度静止ミュービームおよび測定装置の調査研究
Project/Area Number |
10041128
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
真木 晶弘 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40044755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (70196757)
久野 良孝 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (30170020)
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Keywords | レプトンフレーバーの破れ / 超対称性理論 / 大統一理論 / μ-e^+γ崩壊 |
Research Abstract |
素粒子の標準理論では、クォークには世代間の混合があり、異なる世代間で遷移が起こるのに対し、レプトンにはそれがない。したがって、レプトンのフレーバーは厳密に保存されているようにみえる。この保存則に対する最も厳しい制限を与えている実験データの一つであるμ→e^+γ崩壊の分岐比の上限値は現在2×10^<10>である。一方、超対称性理論と大統一理論によると、レプトンフレーバーの保存はμ→c^+γ崩壊の分岐比にして10^<12>から10^<14>で破れの可能性が指摘されている。μ→e^+γ崩壊の分岐比10^<14>の感度の測定の可能性を調査した。 その結果、μビーム源としては、スイスPSI研究所にμビーム強度、factor x 10^8/sのμビーム源が存在するが、実用的なビーム強度、ビームサイズ、バックグラウンド、占有可能時間など詳細な調査研究が必要であることがわかった。また、米国において、μビーム衝突器のμビーム源の開発が進められているが、強度は数桁強力なμビームが期待できるものの、完成まではまだ時間を要するようである。 米国ロスアラモス研究所で実施され、現在データ解析中の実験MEGAの調査を行った。その結果、ソレノイド測定器の問題点が判明した。すなわち、電子軌跡のマルチターンにより、チェンバーワイヤーのヒット本数が増えることによる軌跡再構築の困難さと、TOF精度の劣化である。将来は、この2点を解決することがポイントとなる。 カロリメー夕としては、その期待されるエネルギー分解能、応答の高速性からして、液体キセノン・カロリメー夕が最適との判断に基づき、小型テスト装置による諸テストを重ねてきたが、大型実用器の設計に資するため、冷凍液化、ガス回収システムの実例を、米国コロンビア大学で調査した。小型冷凍器による液化と液体窒素による液化、液体でのキセノン回収とガス態での回収保管の優劣を比較検討中である。
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