1998 Fiscal Year Annual Research Report
小アジアとその周辺地域における大規模な組積造建築の構造と修復に関する学術調査
Project/Area Number |
10041135
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 健一郎 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (30144215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 益代 北海道大学, 留学生センター, 教授 (80291847)
河辺 泰宏 愛知淑徳大学, 現代社会学部, 教授 (70195139)
佐藤 達生 大同工業大学, 工学部, 教授 (40131148)
鈴木 博之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011221)
坂本 功 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011212)
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Keywords | ハギア・ソフィア大聖堂 / ビザンティン建築 / ドーム構造 / 構造補強 / 写真測量 |
Research Abstract |
本年度の活動は、トルコ文化省およびアヤソフィア博物館当局への調査開始挨拶と調査計画説明に始まり(10年5月)、まずハーヴァード大学付属ダン・バートン・オークス研究所で、ファン・ナイスによる1940〜60年代のハギア・ソフィア大聖堂実測図および実測資料の調査を行った。昨年高齢で逝去したファン・ナイス私蔵の各種資料が上記研究所に寄贈され、調査が可能になったため、夏季調査に先立って急遽実施したこの調査では、ドーム上部の測量方法とその誤差計算、6世紀に刻された施工線の曲率および中心決定に関わる実測値確認することができ、約40年を経て実施されている我々の実測との精度差を確定する上で重要な成果があった。 夏季調査(10年8〜10月)では、新規参加メンバーに過去の調査概要の説明を行うとともに、ドーム支持部の実測を行い、方形の支持部が従来観測されていたように南北辺で対称的に外側に膨らむのではなく、その膨出が北辺では西に偏り、南辺では逆に東に偏っていることが明らかになった。現在、この偏りの原因をドーム施工線の膨らみと関係づけて考察中である。ピアを繋ぐ大アーチの頂部も同様の偏りを示しており、11年度には、イタリア人共同研究者を加えて、この変形と直接関連する南北大アーチの外側周縁線の3次元座標の実測を行う。また、美術史班は、ドーム内面の幾何学文様の記録のための基礎調査を行った。調査の最後に、関連遺構の劣化および修復について知見を広げるため、イタリア、クロアチアの各地の初期キリスト教建築の目視調査を行い、現地で組石造構造の保存と補強に関して活発な意見交換を行った。現地調査終了後、研究代表者を含む数名は、来年度研究内容の説明、およびユネスコ世界遺産関連のミッションに対する現状説明(今後の現地調査活動にとってユネスコとの協力関係は本質的に重要である)のため、イスタンブールを訪れている(11年2、3月)。
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