1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10041159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
梶田 忠 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80301117)
秋山 弘之 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 助教授 (70211696)
岡田 博 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40089892)
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Keywords | カワゴケソウ科 / 形態 / 進化 / 分子系統 / 分裂組織 / ボティプラン / 葉状体 / 種子 |
Research Abstract |
1 オーストラリア,北アメリカ,メキシコ,ガイアナ,ブラジルで,いろいろな種属の資料(乾燥標本,DNA解析用サンプル,液浸標本,種子)を採集するとともに野外観察を行った.これらを用いて以下の研究を行った. 2 matK遺伝子の塩基配列に基づいて分子系統解析を行った.その結果,これまでトリスティカ亞科に分類されていたWeddellinaはカワゴケソウ亞科の基部に位置する属であること,オーストラリアの固有のTorrenticolaがアジアのカワゴケソウ属に近縁であること,形態が著しく異なるDalzelliaとIndotristichaが近縁であることなどが明らかになった.これらの系統関係はカワゴケソウ科の進化を解明する上で重要な発見である. 3 いくつかの種属について形態学的研究を進めているが,中でもカワゴロモは特異な形態をしていることが明らかになった.この種では,葉状体の辺縁に生じた分裂組織は1度だけ保護組織(根冠とはいえない)を形成し,その分裂組織自身もやがて分裂組織でなくなり,栄養組織に分化してしまう.その結果として,葉状体が不規則に出芽するカワゴロモ属独特の形態ができあがるのである.このような,非継続的な分裂組織は今回初めて確認された. 4 胚からどのように器官形成が起こるかを調べるために,この科の種子に適した発芽条件を探った.今後は幼植物で特有のボディプランが形成するかを明らかにする研究に取り組む予定である. 5 インドから共同研究者を招聘し,カワゴケソウ科の進化についてのセミナーや収集資料の分析などを通じて,研究結果について討論した.
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[Publications] Imaichi, R.: "Developmental Morphology and Anatomy of the Vegetative Organs in Malaccotristicha malayana (Podostemaceae)"Internationel Journal of Plant Science. 160. 253-259 (1999)
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[Publications] 加藤 雅啓: "植物の進化形態学"東京大学出版会. 242 (1999)
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[Publications] 今市 涼子(共著): "岩槻 邦男 ・ 加藤 雅啓(編)多様性の植物学"東京大学出版会. 336 (2000)