1998 Fiscal Year Annual Research Report
環東中国海における二つの周辺文化に関する研究-沖縄と済州の‘間地方'人類学の試み-
Project/Area Number |
10044011
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
津波 高志 琉球大学, 法文学部, 教授 (90128489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 東栓 済州大学, 人文学部, 助教授
ユ チョリン 済州大学, 人文学部, 教授
全 京秀 ソウル大学, 社会科学学部, 教授
大城 肇 琉球大学, 法文学部, 教授 (10630048)
池田 栄史 琉球大学, 法文学部, 教授 (40150627)
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Keywords | 高麗瓦 / グスク時代 / 朝鮮時代の戸籍 / 豚肉の分類体系 / 済州の家族 / 沖縄の家族 / 祖先祭祀 / 村落祭祀 |
Research Abstract |
「沖縄と済州の間地方人類学の試み」は最終的には、七つの分野の総合的研究を意図するものであるが、単年度ごとの実績については個別分野ごとに報告したい。 1.考古学においては、琉球の高麗瓦研究およびグスク時代研究にとって、韓国の中でも元の直接支配を受けた済州の考古学的研究成果との比較研究の重要性が明らかとなった。 2.地域史においては、済州の今年の調査地に関して、朝鮮王朝から日韓併合の頃までのほぼ1世紀に渡る戸籍の使用が可能となり、歴史的な家族研究の目処がついた。沖縄の調査地に関しては残された文書が内容的に偏りのあることが明らかになった。3.物質文化においては、済州の豚肉の分類体系と沖縄の分類体系はかなり異なるものの、肉や油などの嗜好性に関しては共通性のあることが明らかとなった。発酵食品が沖縄では好まれていないことも確認された。 4.社会組織においては、済州の家族の分家・分居形態についての理念型と現実型が明らかとなり、沖縄の家族における民間宗教的側面に従来の指摘とは異なる要素が見いだせた。 5.民間信仰においては、済州の祖先祭祀の場面を数例観察することができた。家で祭られる祖先の世代数がかなりまちまちになっている事実が確認された。沖縄の民間信仰では特に村落祭祀が建前とは裏腹に、激しく衰退しつつあることが確認された。 6.口承文芸においては、済州の妖怪話が単に話のレベルに止まらず、実際の婚姻関係にも影響を与えていることが明らかになった。沖縄の村芝居に登場する民謡についてその始源的意味世界における豊饒性の重視が指摘された。 7.地域開発においては、村落の聖地と地域開発の関連性、人口規模と地域開発との関連性に関して資料が収集された。
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