1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044025
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中野 敏男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10198161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
山之内 靖 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (60014429)
矢野 久美子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 講師 (70308394)
駒込 武 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (80221977)
|
Keywords | 総力戦体制 / ポストコロニアル文化 / コロニアリズム / 人種主義 / 国民国家 / 戦後社会 / グローバリズム / 比較分析 |
Research Abstract |
本年度の活動は、(1)9月19日に東京外国語大学で「脱植民地化の欲望・グローバルな市場」をテーマに国際共同ワークショップを主催したこと、(2)5月と10月にアメリカとヨーロッパに日本側メンバーを派遣して研究集会を共催し、同時に研究打ち合わせと資料調査を行なったこと、(3)12月に沖縄にて「コロニアリズム/レイシズムを問う場所、語る位置」をテーマに研究会議を組織したこと、という三つの事業を軸に進められた。 (1)では、アメリカでアジア系アメリカ人の文化を追求する研究分担者であるシー・シュメイに加えて、戦時・戦後の台湾の文化研究をしてきている小倉虫太郎に協力を求め、ハリウッドで作られた台湾映画と戦後台湾で作られた映画の中に見られる、台湾や日本の表象について集中的な議論を組織することができた。この議論は、日米の植民地支配的体制が文化表象に強く影響を与え、それが日本・台湾・アメリカの戦後の関係にも深く影を落としている点を明らかにして、共同研究の視野を大きく広げることに決定的な貢献をなした。 (2)では、ライプツィヒ大学とハーバード大学で連続して関連するテーマをもって研究集会を実現し、日本からドイツ・アメリカへと広がる本共同研究の輪をより強固にすることができた。特に、この二つの連続した研究集会では、1950年代における日本・ドイツ・アメリカの社会・文化史上の相互関係を焦点化し、新しい重要な知見を生み出して、戦時社会から戦後社会への連続と断絶の具体的諸相の理解を大きく進展させている。 (3)では、帝国日本の戦中と戦後に特別な位置をもつ「沖縄」で、植民地支配と人種主義のかかわりを具体的に議論できたことが大きな成果である。特に、アメリカと沖縄の研究者が加わることによって、本共同研究の成果に厚みが増し、この問題をめぐる共同研究の展開に重要なステップとなった。
|
Research Products
(20 results)
-
[Publications] 中野敏男: "ボランティア動員型市民社会論の陥穽"現代思想. vol.27-5. 72-93 (1999)
-
[Publications] 中野敏男: "マックス・ヴエーバーの変貌とそれを読む位置"社会思想史研究. No.23. 6-14 (1999)
-
[Publications] 山之内靖: "東アジア経済-「奇跡」から「危機」へ"フェリス社会人大学講座 グローバル化の時代へ. 223-253 (1999)
-
[Publications] 酒井直樹: "「国際性」によって何を問題化しようとしているのか"カルチュラル・スタディーズとの対話. 286-315 (1999)
-
[Publications] 酒井直樹: "「国際性」によって何を問題化しようとしているのか"カルチュラル・スタディーズとの対話. 510-516 (1999)
-
[Publications] 酒井直樹: "Ethnicity and Species - on the Philosophy of Multi-ethnic State and Japanese Imperialism"Radical Philosophy. No.95. 33-45 (1999)
-
[Publications] 酒井直樹: "Feeling and Sentiment: on Fujitani Mitsue's Poetics of Choreography"Gender and Japanese History. vol.2. 167-195 (1999)
-
[Publications] 岩崎 稔: "『改革熱』という病と知の自立"現代思想. vol.27-7. 122-132 (1999)
-
[Publications] 酒井直樹: "知の植民地体制と日本的であること"女?・日本?・美?. 99-115 (1999)
-
[Publications] 姫岡トシ子: "労働者のジェンダ?化?日独における女性保護規定"思想. No.898. 45-74 (1999)
-
[Publications] 大内裕和: "「卓越性」の支配"現代思想. vol.27-7. 134-153 (1999)
-
[Publications] 佐藤卓己: "キングの時代-ラジオ的・トーキー的国民雑誌の動員体制"近代日本文化論・七巻 大衆文化とマスメディア. (1999)
-
[Publications] リヒター シュテフィ: "日本近代の再考"転換期としての日本近代. 第6巻. 279-303 (1999)
-
[Publications] 岩崎 稔: "ハイデガーと《奇妙な地理学》"現代思想. vol.27-6. 270-283 (1999)
-
[Publications] 山之内靖: "日本の社会科学とヴエーバー体験"筑摩書房. 324 (1999)
-
[Publications] 共著 西谷修・酒井直樹: "対談…<世界史>の解体 翻訳・主体・歴史"以文社. 311 (1999)
-
[Publications] 佐藤卓己: "筒井清忠編 日本の歴史社会学"思想の科学研究会. 340 (1999)
-
[Publications] 成田龍一 (共著): "戦争はどのように語られてきたか"朝日新聞社. 301 (1999)
-
[Publications] 共著 林みどり: "<南>から見た世界-ラテンアメリカ"大月書店. 27 (1999)
-
[Publications] 共編 姫岡トシ子: "21世紀のジエンダー論"晃洋書房. 280 (1999)