1999 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済の成長持続性と日本の役割-制約要因の克服に向けて-
Project/Area Number |
10044042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 一般 |
Research Institution | INSTITUTE OF STATISTICAL RESEARCH |
Principal Investigator |
篠原 三代平 財団法人 統計研究会, 会長 (70054236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浜 裕久 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40201488)
田村 紀之 東京都立大学, 経済学部, 教授 (10086978)
下村 恭民 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (60241923)
丸山 伸郎 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00013277)
碓井 彊 高崎商科短期大学, 教授 (90223536)
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Keywords | 東アジアの金融・経済危機 / 金融システムの再編 / 日本の支援と新宮沢構想 / 東アジア経済のV字型回復 / サポーティング・インダストリーの育成 / 韓国のIMF危機と財閥改革 / インドネシアの民主化と構造改革 / 中国の国有企業改革と下崗 |
Research Abstract |
97年7月タイで発生した通貨危機は近隣に"地域感染"し、東アジア各国は深刻な不況に見舞われた。本研究では危機発生の原因を分析するとともに各国の対応状況を調査し、中間報告をとりまとめた。 第2年度は引き続き現地日系企業の対応や日本の役割を調査するとともに今後の課題を明らかにした。 当初、「アジアの成長神話は喪失した」と悲観論が少なくなかったが、マクロ指標で見る限り、予想外に回復は早い。99年度のGDP成長率予測では韓国10.3%、タイは4.0%、インドネシアでも0.2%と、各国はいずれもV字型の回復を示している。 しかし、ミクロ的にはなお多くの構造問題がある。タイのスウィナイは「不良債権が巨額で金融改革が必要」と指摘。韓国では財閥改革、中国では国有企業改革、インドネシアなどでは"縁故主義"がいわれ、それぞれに問題を抱え、いずれも脆弱な金融システムの再編やサポーテイング・インダストリーの育成を必要としている。 マレーシアのMohamed Ariffは「回復があまりに早いために構造改革の先送りが懸念される」と指摘している。 このような景気回復についてはIMFの支援と日本の果たした役割が大きいが、IMFのコンディショナリティについては、インドネシアなどで「非現実的」と批判された。日本の支援については、「新宮沢構想」など高い評価を受けているが、その性格は悪循環に歯止めをかけることで、本格的な立ち直りを支えるためには、日本経済の早い立ち直りが要望されている。 篠原研究代表は通貨危機のマイナスのインパクトが消え、輸出が伸び、直接投資が流入してくればASEAN4や中国は再びテイクオフの軌道に戻りそうだ、と観察している。グローバル時代の持続的成長軌道に戻るには、構造問題の速やかな解決が求められる。
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