1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044073
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小穴 英廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20314172)
熊沢 紀之 茨城大学, 工学部, 助教授 (70137256)
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Keywords | 長鎖DNA / コイルーグロビュール転移 / 単一分子鎖観察 / 蛍光顕微鏡 / 単分子凝縮 / 融解転移 / 界面活性剤 / 折り畳み転移 |
Research Abstract |
本国際学術研究は、長鎖DNA分子のコイル-グロービュール転移の特性やグロビュール微細構造の安定性について実験と理論の両面から明らかにすること、更には高次構造制御の方法論の確立を目的として研究を行った。昨年度の本共同研究において、陽イオン界面活性剤と複合体を形成した長鎖DNA分子を蛍光顕微鏡法を用いて単一鎖観察し、複合体は、アルコール濃度の増加に伴い、グロビュール(凝縮状態)からコイル(伸長状態)を経て再びグロビュールとなる、リエントラントな転移を示すことを発見した。本年度も研究は順調に進展したが、その中でも重要な成果としてDNA折り畳み転移と、二重鎖融解転移間のcross talkを明らかにしたことがあげられる。2重ラセンDNAは、温度上昇に伴い、一本鎖に解離し、これは一般にヘリックスーコイル転移、あるいは融解転移と呼ばれてきた。全長100塩基対以下の程度のサイズのDNAの融解転移については過去、詳細な研究が行われており、塩基組成との関連も解明されてきている。しかしながら、細胞内に存在するDNAは全長がcmのオーダーであり、このような長鎖DNAの融解挙動については不明な点が多く残されている。今回、DNAが折り畳まれた状態では、融解転移が阻止されることを蛍光顕微鏡およびCDを用いた実験により、明らかにすることができた。さらに、DNAの脱凝縮転移とDNAの脱凝縮転移と、ヘリックスからコイルへの融解転移は協同的に生じることも見い出した。細胞が遺伝子発現するにあたって、2重ラセンの融解は必要不可欠なプロセスであることから、今回の発見は、生命科学の発展にも大きく貢献するものと期待できる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] V.G.Sergeyev: "How Does Alcohol Dissolve the Complex of DNA with a Cationic Surfactant?"J. Am. Chem. Soc.. 121. 1780-1785 (1999)
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[Publications] S.Takagi: "Stepwise Collapse of Polyelectrolyte Chains Entrapped in a Finite Space As Predicted by Theoretical Consideration"Langmuir. 15. 4143-4146 (1999)
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[Publications] Y.Yoshikawa: "Formation of a Giant Toroid from Long Duplex DNA"Langmuir. 15. 4085-4088 (1999)
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[Publications] H.Murayama: "Thermodynamics of the Collapsing Phase Transition in a Single Duplex DNA Molecule"J. Phys. Chem.. B103. 10517-10523 (1999)
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[Publications] Y.Matsuzawa: "Laser Trapping of an Individual DNA Molecule Folded Using Various Condensing Agents"J. Am. Chem. Soc.. 121. 11581-11582 (1999)
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[Publications] Yu.S.Velichko: "Effect of Twisting on the Behavior of a Double-Stranded Polymer Chain : A Monte Carlo Simulation"J. Chem. Phys.. 111. 9424-9433 (1999)
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[Publications] K.Yoshikawa: "A Working Hypothesis on the Mechanism of Molecular Machinery"Chem. Phys. Lett.. 303. 10-14 (1999)
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[Publications] S.Nomura: "Giant Phospholiqid Vesicles Entrapping Giant DNA"Giant Vesicles. 313-317 (1999)