2000 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアおよび周辺地域での野生マウスの遺伝子変異の探索と有用系統の育成
Project/Area Number |
10044222
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Research Institution | Tokyo Organization for Medical Research, The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
米川 博通 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (30142110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
土屋 公幸 宮崎医科大学, 付属動物実験施設, 助教授 (30155402)
森脇 和郎 総合研究大学院大学, 副学長 (50000229)
鈴木 仁 北海道大学, 大学院・地球科学研究科, 助教授 (40179239)
宮下 信泉 香川医科大学, 付属動物実験施設, 助教授 (10190779)
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Keywords | 野生マウス / ロシア / 中国 / mtDNA多型 / 型解析 / ヘモグロビンβ鎖多型 / タイプ標本画像データ / 系統化 |
Research Abstract |
ロシア人研究者の協力により、ロシア中央部(イルクーツク)、同沿海州、およびカムチャツカ半島それぞれ数地点から、またカザフスタン研究者よりバルハシ湖岸の1地点から、野生マウスをそれぞれ採集した。採集したマウスは、ウラジオストックのロシア科学院生物学・土壌学研究のA.Kryukov部長の研究室に集め、外部形態の計測、G-、およびC-バンド染色による核型解析、蛋白多型(ヘモグロビン)、DNA多型(RAPID法)などのごく基本的な第一次の検索を行い、これら野生マウスの形態学的、遺伝学的特徴付けを行った。さらに、これらマウスのうち特に興味のある突然変異を持っていると判断されたものは、検疫所の許可を得てわが国へ輸入し、タイプ標本の作成、画像処理のための写真撮影、ミトコンドリアDNA(mtDNA)、マイクロサテライトDNAの多型、補体成分についての検索等、第二次の検索を行うと共に、全ての個体から核DNAを抽出精製した。その結果、極東には少なくても3種類のマウス亜種、Mus musculus musculus、M.m.castaneus、そしてM.m.domesticusが分布することが分かった。そのうち、M.m.domesticusは、その分布状況から見て、最近沿海州に侵入したものと思われた。また、輸入したマウスのうち、補体、ヘモグロビンに突然変異を示す個体からは、宮崎医大において近交系化を行い、系統として保存した。 さらに、中国産野生マウスからがん抵抗性遺伝子を導入したコンジェニック系統の樹立と飼育を中国天津市労働性職業病研究所の王鳳山副所長に依頼した。 また、今年度は本研究班の最終年度のため、ロシア人研究者等をわが国に招聘し、日本動物学会との共催シンポジウムとしてこれまでの代表的研究成果を発表した。また、それ以外の成果についても、総合研究大学院大学でミニ国際シンポジウムを開催し、これまで得られた成果についての総括を行った。 なお、画像、および蒐集した核DNAについては、必要事項と共にデータベース化を行い、DNAリソースとして保存する準備をしている。
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[Publications] Yakimenko,.L.V., et al.(Moriwaki,K.,Yonekawa,H.): "Genetic studies on house mice from the hybrid zone of Primorskii Krai.,"Russian J.Genetics. 36. 77-86 (2000)
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[Publications] Koide,T.,Moriwaki,K.,Ikeda,K.,Niki,H.,& Shiroishi,T.:: "Multi-phenotype behavioral characterization of inbred strains derived from wild stocks of Mus musculus"Mammalian Genome. 11. 664-670 (2000)
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[Publications] Maeda,Y.Y.,Funata,N.,Takahama S.,Sugata,Y.& Yonekawa,H.: "Two interactive genes responsible for a new inherited cataract (RCT) in the mouse."Mammalian Genome. (印刷中). (2001)
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[Publications] Kohara,Y., et al.(Yonekawa,H.): "A Major Determinant Quantitative-trait Locus Responsible for Atopic Dermatitis-like Skin Lesions in NC/Nga Mice is Located on Chromosome 9."Immunogenetics.. (印刷中). (2001)