2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044230
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 義明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00098146)
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Keywords | ヘム / 酸素応答 / ヘムオキシゲナーゼ / 転写調節 |
Research Abstract |
本研究はヘムの機能を総合的に明らかにしようというものであり、ことに病態生化学的解析に重点をおいて研究を行っている。本年度の研究成果に一部を上げると、ヘムの分解系の誘導現象が急性腎不全からの回復に大きな役割を果たしていること、また、薬物性の肝機能障害の発生機序には細胞中に遊離したヘムが深く関わっており、機能の回復を考えるとその速やかな分解が重要であること、などを明らかにした。 それでは、このようなヘムの調節機構においてヘムがどのような役割を果たしているであろうか?この点に関して我々はヘムを配位する可能性のある脊椎動物で初めての転写調節因子の機能解析を行い、ヘムの結合部位を解明し、結合様式の検索とヘムそのものが重要なのか、鉄が重要なのか、ポルフィリン骨格が重要なのか、あるいはヘム鉄が重要なのかについての解析、およびヘムの結合と蛋白質因子のDNA結合活性の相関関係を明らかにした。その結果、本因子のヘテロダイマー形成にはヘムは関与しないこと、しかしDNAとの結合活性への調節をヘムが行っていること、調節はヘム量と負に相関していること、結合領域にはイーストで報告されているヘム結合性転写因子であるHAP1と同様のシステイン・プロリンモチーフが必須であること、ポルフィリン環の側鎖ではなくヘム鉄が結合に重要であることなどを明らかにした。 これらの結果の国際的な評価を得るために、本研究計画の国外共同研究者であるファンドレー、ギャスマン、シトコフスキー、佐々茂らを含めた国際シンポジウムの開催を計画した。残念ながら、シトコフスキーの参加は家族の病気のために得られなかったが、内外20名余りのシンポジストを迎えた「The Regulation of Hematopoiesis in Response to Environmental Stress」(平成12年10月18日〜19日、札幌)で、この研究成果はヘムの新しい機能に光りを当てるものとして高く評価された。
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[Publications] H.Shimizu, T.Takahashi,T.Suzuki et al.: "Protective effect of heme oxygenase induction in ischemic renal failure"Crit. Care. Med.. 28. 809-817 (2000)
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[Publications] Y.Okada, T.Takahashi A.Yamasaki et al.: "Prevention of halothan-induced hepatotoxicity by hemin pretreatment"Biochem. Pharmacol.. 59. 871-880 (2000)
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[Publications] S.Sassa and H.Fujita: "Regulation of Heme Biosynthesis by Hormone, Drugs and Environmental Chemicals. (ed, by Piper)"CRC Press (in press). 1000 (2001)