1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10132242
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 多門 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20112104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木地 実夫 鳥取大学, 工学部, 教授 (60026002)
|
Keywords | 複合機能性錯体触媒 / Proximity Effect / 相間移動触媒 / アンモニウム修飾触媒 / 固液反応 / 二相系溶媒反応 / アンモニウムホスフィン / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
イオン性の求核試剤を用いる錯体触媒反応では、これらが一般の有機溶媒に不溶なため多くの問題を引き起こす。本研究では安価な溶媒系とイオン性試剤を用いながら高反応効率を維持するための新手法として、酵素に見られるようなProximity Effectを錯体触媒に付与した触媒の高効率化を検討した. 汎用性の高いトリアリールホスフィンを母核とし、フェニル基の側鎖にメチレン基三個を介して四級アンモニウム基を修飾した。この配位子の合成はメタブロモアセトフェノンから出発した。マンニッヒ反応で側鎖を延ばし、還元によりジアルキルアミノプロピル基を導入した。ブチルリチウムで臭素基をリチウム化し、ジフェニルクロロホスフィンで処理し、アミノホスフィンを得た(ジメチル体、ジブチル体:各々のトータル収率約30および15%)。従来この様なアミノホスフィンのアンモニウム化はホスフィン部分を保護して行われていたが、ジメチル体についてはメチルトシレートを用い直接アンモニウム化に成功した。しかしジブチル体ではリンもブチル化されたので、パラジウム錯体にした後アンモニウム化した。このようにして得られたPdBr_2L_2(アミノホスフィンより収率約50%)の機能はクロロホルム中で固体KIを用いるハロゲン交換反応によって評価した。室温でPdBr_2(PPh_3)_2はPdI_2(PPh_3)_2を生成するのに1時間以上を要するが、メチレン基一個を介したジメチルアンモニウム錯体では0℃で約30分、メチレン基三個を介したジメチルアンモニウム錯体では0℃で15分以内に固液でのハロゲン交換が完結した。このことは、側鎖に相間移動触媒機能性をもつ四級アンモニウム基を修飾することで、デユアル触媒の創製が可能で、そのProximity Effectの程度は側鎖機能性基と中心遷移金属の距離に大きく関係することを示している。
|