Research Abstract |
近年,GISは自然科学研究のみならず,社会学や文化人類学,考古学など,人文社会科学研究においても徐々に利用が進みつつある.しかし,人文社会科学研究において用いられる空間データは非常に多様であるため,それらを組み合わせて利用する際には様々な問題点が生ずる.例えば,データ形式,投影法,空間集計単位,データ精度などが異なっており重ね合わせができない,空間データが複数の場所に分散管理されているため,ネットワークなどを通じて様々な空間データを取得する必要がある,といったことである,本研究はこのような,空間データの変換・交換・管理・共用に関わる問題点を解決することを目的とし,空間データの自動変換と推定を行う空間データ交換・管理・共用システムと,動的空間データ適切な方法で表示・伝達するための動的空間データ伝達システムの二つのシステムを開発している. 昨年度までの研究において,本システム開発のうち,空間データ交換・管理システム及び空間データクリアリングハウスはほぼ完成している.そこで本年度は,空間データクリアリングハウスを実際に運用しながら,利用者の意見に基づいたいくつかの改良を実施した.具体的には,メタデータ検索インターフェースの改良,検索結果の階層的表示,メタデータの空間範囲表示などである. また,今後の空間データ分散管理を念頭に置き,分散化のためのシステム構成を検討し,一部,FGDC方式との連携を実施した.現在,空間データ交換・管理システム及び空間データクリアリングハウスはスタンドアロンで稼働中であるが,今後,空間データは分散的に管理されることが確実であり,それに対応したシステムを現時点から考える必要がある.空間データクリアリングハウスについては,我々は国際標準であるFGDC方式とは異なる独自の方法を採用しているため,FGDC方式へ自動変換する仕組みを開発し,国土地理院ゲートウェイへの接続を行った. さらに,空間データの分析に利用可能なツールの開発を実施する.人文社会科学分野で扱われる空間情報は多種多様であり,それらを分析するための手法やツールは,未だ十分に整備されているとは言い難い.そこで今年度は特に,ネットワーク解析ツールに焦点を当て,Arcview上で稼働する分析ツールの開発を実施した.
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