1998 Fiscal Year Annual Research Report
熱的および化学的に安定な多機能薄膜の作成とその利用に関する研究
Project/Area Number |
10305060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富田 彰 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (80006311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRADHAN B.K. 東北大学, 反応化学研究所, 講師(研究機関研究員
京谷 隆 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (90153238)
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Keywords | アルミニウム陽極酸化皮膜 / ガス分離 / 分子流 / 気相炭素化 |
Research Abstract |
1. 本研究では数十nm程度の均一な直線状細孔をもつアルミニウム陽極酸化皮膜に種々の有用な機能を賦与し、その高度利用を目的としている。アルミニウム陽極酸化皮膜の細孔径は気体体分子の平均自由行程にくらべて小さいので気体分子は分子流により拡散透過する。しかし分子流では分子量に大きな差がない限り高い選択性を望めず、ガス分離膜としての利用も制限される。そこで本年度ではアルミニウム陽極酸化皮膜にプロピレンのCVDを行い、細孔内壁に炭素を堆積させ、細孔径を狭めることにより気体の選択性の向上を試みた。 2. 電解研磨したAl板を20%硫酸中で化成電圧20V、0℃の条件で陽極酸化した。その後15℃の20%硫酸中に1時間浸せきしてバリアー層を除去し、径約20nmの直線状細孔を持つアルミニウム陽極酸化皮膜を調製した。、得られた陽極酸化皮膜の細孔内壁にプロピレンを用いたCVDにより炭素を堆積させた。得られた複合膜の平均孔径をSEM観察により求めた。気体の透過率はHe,N_2,O_2の単成分気体を用いて30℃で測定した。選択性は各気体の透過率の比で評価した。 3. CVD温度が800℃の場合、CVD時間とともに膜の孔径が減少した。またCVD温度が750℃でも長時間CVDを行うと孔径が減少した。これらの膜について気体透過実験を行った。800℃で2時間CVDを行った膜のHe透過率は陽極酸化皮膜の4割程度まで低下し、孔径の減少から計算される分子流の理論的減少割合(30%)とほぼ同程度であった。つぎに透過選択性に対するCVD条件の影響を調べた。分子流の場合の理論的選択性はHe/N_2=2.65He/O_2=2.83N_2/O_2=1.07であるので陽極酸化皮膜だけでもHe/N_2とHe/O_2の選択性は理論値を上回っている。CVDを行うことによってHe選択性はさらに増加したがN_2/O_2選択性はほとんど変化しなかった。選択性の飛躍的な向上のためには表面拡散が支配的になる領域まで孔径を狭める必要がある。現在、孔径をさらに狭めるためCVD条件の最適化を行っている。
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