1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10305068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶 慶輔 京都大学, 化学研究所, 教授 (00026072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 幸次 京都大学, 化学研究所, 助手 (80189290)
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20152788)
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Keywords | 高分子 / 結晶化誘導期 / ミクロ相分離 / スピノーダル分解 / 特性波長 / ガラス結晶化 / メルト結晶化 / 超小角X線散乱 |
Research Abstract |
結晶性高分子の高次構造制御は、その物性との関係において非常に重要である。しかし、これまで高次構造の発現構造が十分理解されておらず、その解明が切望されていた。われわれは、小角X線散乱などを用いて、従来、大きな構造変化が起こっていないと考えられていた結晶化誘導期にスピノーダル分解型のミクロ相分離が起こっていることを発見し、その起源と成長過程を詳細に研究してきた。その結果、ガラス状態から低温で結晶化したときとメルト状態から比較的高温で結晶化させたときとでは、スピノーダル分解の特性波長(高分子鎖セグメントの配向領域と非配向領域の周期)が数10nmおよび数Μmと2桁も異なることを発見し、そのことが球晶サイズに大きく関係していることが示唆された。 本年度は、いくつかの大きな発見があった。その最も重要なのは、散乱結果から結論されたスピノーダル分解パターンを実際に光学顕微鏡で直接観察することに成功したのである。もう1つは、結晶化温度が高くなるとバイノーダル分解型(配向領域の核生成成長)のミクロ相分離に変化するという証拠が得られたことである。さらには、フーリエ変換赤外による実時間測定から、高分子鎖が結晶化誘導期で結晶形態(剛直セグメント)を取り始め、その長さの増大が配向化を誘起することを発見した。 本科研費で購入した超小角X線散乱装置を用いた結果は、以下の通りである。メルト結晶化の場合、実測特性波長は顕微鏡の結果と良く一致した。ガラス結晶化の場合、2種類の特性波長が存在した。1つは、本研究の端緒となった数10nmの特性波長であり、もう1つは意外にもメルト結晶化に対応する数Μmの特性波長である。ただし、ガラス結晶化の場合にはこの波長分布が著しく広いという特徴をもっている。今後は、これらの新たな発見に基づいて研究を進め、結晶化初期の構造形成機構の全貌の解明を目指す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Go Matsuba: "Conformational Change and Orientation Fluctuations of Isotataic Polystyrene Prior to Crvstallizaton"Polymer J.. 31・9. 722-727 (1999)
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[Publications] Go Matsuba: "Conformational Change and Orientation Fluctuations Prior to the crystallization of syndiotatic Polystyrene"Macromolecules. 32・26. 8932-8937 (1999)
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[Publications] Yuka Sakai: "Tip-Splitting Crystal Growth Observed in Crystallization from Thin Films of Poly (ethylene terephthalate)"J. Crystal Growth. 203. 244-254 (1999)