2000 Fiscal Year Annual Research Report
染色体5q31および11q13のIgE高反応性遺伝子の同定
Project/Area Number |
10307013
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山口 悦郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10201831)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南須原 康行 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30322811)
伊藤 昭英 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30291230)
|
Keywords | 高親和性IgEFc受容体β鎖 / IL-4 / アトピー / 気管支喘息 / アトピー性皮膚炎 / IgE / 1塩基多型 |
Research Abstract |
(1)24人の日本人アトピー型気管支喘息患者を対象に、高親和性IgEFc受容体β鎖遺伝子の全領域で塩基配列を決定し、変異の有無を検索した。新たなCからTへの1塩基置換を転写開始部位より109bp上流のプロモーター領域に発見した。同変異の遺伝的な影響を検討するために、226人の喘息患者、226人の健常人においてこの多型の有無を判定した。これらの多型の分布は喘息と健常人の両群で特に有意な差は認められなかったが、喘息群において対立遺伝子Tをホモで有する喘息患者は、それ以外の遺伝子型(TCまたはCC)を有する喘息患者に比べて有意に血清総IgEが高い値を示した(p=0.0015)。また喘息の発症年齢を考慮して同様の検討を行うと、遺伝子多型の総IgE値への影響がより明瞭に認められた(p=0.0004)。 (2)我々は新たにIL-4プロモーター領域+33に1塩基多型を見出した。そこで120名の健常者と同数の気管支喘息患者を対象に、PCR-RFLP法で多型を同定し、血清総IgEとの関連を検討した。その結果T対立遺伝子頻度は喘息患者で0.675、健常者で0.671と両群に有意差を認めなかった。一方、遺伝子型(CT+TT)はCCに比して、検討対象者全員および喘息群に関し、性、年齢で補正しても有意に血清総IgE値が高かった。 (3)次に上記二つの遺伝子多型がアトピー性皮膚炎の発症に及ぼす影響について検討した。対象は199人の健常対照者と125人のアトピー性皮膚炎患者である。それぞれの多型がアトピー性皮膚炎発症にもたらす寄与度をロジスティック回帰分析で検討した。その際、性、年令、喫煙の有無にて補正した。その結果、高親和性IgE受容体β鎖遺伝子における-109(C/T)多型については、p値0.38、オッズ比0.78とTT群はアトピー性皮膚炎の発症に関連は認めなかった。次にIL-4遺伝子+33について同様にCCホモ接合体の場合のアトピー性皮膚炎発症のリスクを計算したが、p値0.34オッズ比0.60と、やはりアトピー性皮膚炎の発症との関連は認めなかった。二つの多型と血清総IgE値との関連を性、年令、喫煙の有無で補正して解析したが、いずれの多型についても有意差は認めなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hizawa N: "A common FCER1B gene promoter polymorphism influences total serum IgE levels in a Japanese population."Am J Respir Crit Care Med. 161・3. 906-909 (2000)
-
[Publications] Suzuki I: "Association between a C+33T polymorphism in the IL-4 promoter region and total serum IgE levels."Clin Exp Allergy. 30・12. 1746-1749 (2000)
-
[Publications] 山口悦郎: "症例から学ぶ -呼吸困難- 気管支喘息"レジデントノート. 1・6. 14-16 (2000)
-
[Publications] 山口悦郎: "アレルギー科診療マニュアル アレルギー疾患の遺伝的基礎"アレルギー科. 9・特別増刊). 87-97 (2000)