1998 Fiscal Year Annual Research Report
CO_2-気候-植生の結合システムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
10308024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 秀次 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60252417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渕 和雄 気象庁気象研究所, 主任研究員
佐藤 康雄 気象庁気象研究所, 研究室長
日野 幹雄 中央大学, 総合政策学部, 教授
岩嶋 樹也 京都大学, 防災研究所, 教授 (80025478)
西 憲敬 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222183)
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Keywords | CO_2 / 二酸化炭素 / 気候変動 / 気候モデル / 植生モデル |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、陸上植生と気候及び二酸化炭素交換の三者の関係を数値的にモデル化することにあるが、そのための基礎として大気モデルの構築は重要である。本年度には、その大気モデルと二酸化炭素輸送とを結合するモデル開発を行い、それも地球規模と領域規模の両面からモデル開発の基礎的研究が重点的に行われた。 地球規模の二酸化炭素輸送モデルに関しては、地球表面における二酸化炭素の交換量を適当に仮定することにより、大気中の輸送過程はかなり精度よくシミュレートできることが確認できた。その結果に基づき、陸上の植生による二酸化炭素交換量をいろいろ変化させて、大気中での二酸化炭素濃度の分布や季節変化などをシミュレートしてみると、大変興味深いことに、1年間のネットとして残量に影響を与えうる要素の1つに植生の効果があるのではないかという示唆が得られた。このことは、近年植生による二酸化炭素の吸収効果が注目されている中で、重要な研究結果であると考えられる。特に、シベリアの植生効果には注目する必要があるだろう。その他、比較的高緯度の海洋における二酸化炭素交換量の精度を向上させる必要性も示唆されている。 一方、まだ試行の段階だが、簡単化された植生による二酸化炭素交換モデルを、日本列島を囲む程度の比較的狭い領域に限って適用して、観測例と比べてみると、かなりの精度で観測値がシミュレートできる可能性のあることが判明し、今後の研究の進展に期待が持てた。 以上のほか、大気中の二酸化炭素濃度に関する観測的研究も活発に実施され、研究中間報告会等で途中成果が発表された。本年度の成果の一部は、講演集としてまとめられているが、データなどはモデル開発に生かされてゆく予定である。
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