1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10309007
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Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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| Research Institution | Hitotsubashi University |
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Principal Investigator |
加藤 博 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10134636)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 博高 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (00137027)
栗原 尚子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80017623)
斎藤 寛海 信州大学, 教育学部, 教授 (00020628)
竹内 啓一 駒澤大学, 文学部, 教授 (00017617)
大月 康弘 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70223873)
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| Keywords | 地中海 / 基層文化 / 宗教 / 民族 / 文化共存 / 文明の衝突 |
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| Research Abstract |
現在、地中海世界は激しい変動の最中にあるが、本研究はこの地中海世界の政治・経済・社会の枠組みの変容を「基層文化」をキーワードに分析し、地中海世界の将来を見通すことを目的とする。3年計画の初年度にあたる本年は、今後予定されているより限定されたテーマの分析のいわば予備作業として、地中海世界における複雑で重層的な宗教と民族の結びつきを基層文化にまで掘り下げて解明した。
研究活動は月一回の定例研究会のほか、ハイファ大学(イスラエル)助教授マージド・ハッジ氏を招いてイスラエルにおける多文化主義運動の現在と将来、イスラエル在住パレスチナ・アラブ人の重層的なアイデンティティ構造についての特別講義を企画するなど、研究会活動を通じて内外の研究者と意見の交流を計った。さらに、成果を海外でも発表し、海外の研究者から当該研究課題についてのレビューを受けるべく、3名の研究代表者、研究分担者を海外に派遣した。
その結果、古代末期から中世初期にまで遡る地中海世界での民族・宗教・文化融合の諸相と、それを実現したひと、もの、技術の頻繁な交流を背景とした地中海世界の文化伝統の遺産、そして、東西冷戦体制の崩壊後におけるこうした文化伝統と民族・宗教・文化融合の弱体化と、それにともなう「文明の衝突」の諸相が明らかにされた。しかし、バルカン、パレスチナ地域において典型的に観察される、いわゆる「文明の衝突」の多くは政治の局面において生じており、政治化されていない人々の生活領域、とりわけ日常生活のレベルでは、民衆宗教におけるマリア信仰に代表される、従来の宗教・民族を越える基層的文化伝統が、依然として根強く生き続けていることも確認された。
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[Publications] 加藤 博: "イスラム世界における組の継帯と社会秩序-エジプト農耕社会を事例に" 比較法史研究-思想・制度・社会(比較法史学会). 7. 65-84 (1998)
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[Publications] 加藤 博: "「周縁」からみた近代エジプト-空間と歴史認識をめぐる-考察" 岩波講座 世界歴史(岩波書店). 21. 169-188 (1998)
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[Publications] 加藤 博: "イスラム復興運動とオリエンタリズム" 人文科学研究所月報(専修大学). 184. 1-7 (1998)
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[Publications] 加藤 博: "アレクサンドリアの憂愁-近代地中海世界の光と影" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] Keiichi Takeuchi(竹内啓一): "Geography and Buddhisum in Tsunesafuno Makiguch's Thought" Uiwardenga et al.(ed.)Religion,Ideology and Geographical Thougect. 105-127 (1998)
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[Publications] Keiichi Takeuchi(竹内啓一): "Traditional View of Nature and Natural Resources Mauagement in Japan" Hitotsubashi Journal of Social Studies. 30-2. 15-35 (1998)
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[Publications] 藤沢 房俊: "おだやかな監禁としての救貧院-ナポリのアルベルゴ・ディ・ポーヴェリ-" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] 斎藤 寛海: "中世後期における地中海商業" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] 勝田 由美: "伊仏両国を生きたエンリコ・チェルヌスキ" 工学院大学共通課程研究論叢. 36-1. 161-172 (1998)
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[Publications] 中沢 勝三: "ネーデルラントから見た地中海" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] 立石 博高: "近世のバルセローナ-地中海と疫病" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] Hidemitsu Kuroki(黒木英充): "Zimmis in Mid-Nineteenth Century Aleppi An Analysis of Cizge Defteris" Anchiv Orientalni Supplenenta. 8. 205-250 (1998)
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[Publications] 臼杵 陽: "イスラエルにおける「修正主義」-「新しい歴史学」にとっての戦争,イスラエル建国そしてパレスチナ人" 歴史学研究. 712. 17-25 (1998)
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[Publications] 臼杵 陽: "オスロ合意後の中東和平とネタニャーフ政府" 国際問題 焦点1中東情勢の変容. 462. 15-28 (1998)
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[Publications] 大稔 哲也: "死者の街と「エジプト」意識-ムスリム社会の聖基参詣" 信仰の地域史(山川出版社). 地域の世界史7. 52-93 (1998)
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[Publications] 大月 康弘: "12世紀コンスタンティノープルの帝国病院" 講座 地中海世界史(青木書店). 3(5月出版予定). (1999)
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[Publications] 長沢 栄治: "イスラム世界の拡がりと法秩序" 比較法史研究-思想・制度・社会(比較法史学会). 7. 112-118 (1998)
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[Publications] 加藤 博: "イスラム世界の常識と非常識" 渓交社, 239 (1999)
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[Publications] 一橋大学地中海研究会: "地中海という広場" 渓交社, 207 (1998)
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[Publications] 立石 博高(共著): "スペインの歴史" 昭和堂, 231 (1998)
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[Publications] 立石 博高(共編訳): "大航海の時代-スペインと新大陸" 同文館出版, 274 (1998)
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[Publications] 臼杵 陽: "見えざるユダヤ人-イスラエルの<東洋>" 平凡社, 274 (1998)
