廃棄物の地盤工学的有効利用とその環境影響評価手法の開発

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10355020
• Research Institution: KYOTO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 嘉門 雅史 京都大学, 防災研究所, 教授 (40026331)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 友久 誠司 明石工業高等専門学校, 教授 (60099827) ; 平田 建正 和歌山大学, 環境システム工学部, 教授 (30093454) ; 勝見 武 立命館大学, 理工学部, 助教授 (60233764) ; 乾 徹 京都大学, 防災研究所, 助手 (90324706) ; 塚田 幸広 建設省, 東北地方建設局, 企画調査官
• Keywords: 廃棄物 / 地盤環境 / 環境影響評価 / 溶出試験 / 有害物質 / 有効利用 / 地盤汚染対策

Research Abstract

従来から地盤工学の分野では廃棄物や建設発生土の有効利用について研究が図られてきたが、その実用化にあたっては、(1)地盤工学分野での利用が期待される各種廃棄物の有効利用の方法、改良技術、材料特性のとりまとめ、(2)道路盛土、港湾構造物などの典型的な有効利用の事例についての設計手法の確立、(3)溶出試験の問題点が指摘されていることから、廃棄物を利用する立場からの溶出特性の把握手法についての検討、(4)廃棄物の有効利用による地盤環境影響のモデル化手法とその対策技術の確立、(5)有効利用が困難な廃棄物の適正処分方法の確立、が不可欠である。そこで本研究では廃棄物の地盤工学的有効利用とその地盤環境影響の評価手法の確立を目的とし、過去2年間の研究成果を受けて本年度は以下の内容について研究を行った。
1.廃棄物の地盤工学的利用に関する設計手法の提案
前年度までの研究成果に基づき、各種廃棄物の有効利用の方法、改良技術、特性の体系化を行うとともに、有害物質による地盤汚染の防止技術についてもとりまとめを行った。さらに、溶出試験に基づく有害物質の溶出特性、および地盤の緩衝能に基づいて、周辺地盤に環境負荷を与えない廃棄物の有効利用手法とその設計法を示した。
2.廃棄物の地盤工学的利用による環境影響評価
廃棄物を海面埋立材料として適用した際の環境影響を数値解析により評価し、適正な護岸構造形式を提案した。さらには、廃棄物の改良技術として最も一般的に用いられるセメント固化を対象として、有害物質の封じ込め効果の長期的な安定性を各種溶出試験方法を用いて評価した。
3.研究の統括
平成10年度からの3年間の研究の統括として、廃棄物の有効利用および環境影響評価手法に関して得られた研究成果を体系的にとりまとめたレビューペーパーの発表、学会誌での講座の企画を積極的に行い、得られた研究成果の普及を図っている。

Research Products

• [Publications] M.Kamon: "MSW fly ash stabilized with coal ash for geotechnical application"Journal of Hazardous Materials. 76,2-3. 263-283 (2000)
• [Publications] M.Kamon: "Reuse of waste and its environmental impact"Proceedings of International Conference on Geotechnical and Geological Engineering. 1095-1123 (2000)
• [Publications] 勝見武: "地盤改良技術と環境保全 3.廃棄物の有効利用のための地盤改良技術"材料. 49-10. 1160-1166 (2000)
• [Publications] T.Hirata: "Soil and groundwater remediation applied to contaminated sites with hazardous chemicals in Japan"Proceedings of Fourth Kansai International Geotechnical Forum. 83-94 (2000)
• [Publications] M.Kamon: "Minimization of heavy metal leaching effect from dredged sediments involving reclamation"Coastal Geotechnical Engineering in Practice, A.Nakase and T.Tsuchida,eds., Balkema, Rotterdam. Vol.1. 629-634 (2000)
• [Publications] M.Kamon: "Role of ground improvement technology in geo-environmental engineering"Proceedings of Third International Conference on Ground Improvement Techniques. 13-36 (2000)
• [Publications] 嘉門雅史: "海面埋立処分場における遮水層の性能評価"第4回地盤改良シンポジウム発表論文集. 231-238 (2000)
• [Publications] S.Sakai: "Municipal solid waste incinerator residue recycling by thermal processes"Waste Management. 20,2-3. 249-258 (2000)
• [Publications] S.Tomohisa: "Hardening treatment of muddy soil with coal fly ash"Proceedings of International Conference on Geotechnical and Geological Engineering. (on CD-ROM). (2000)
• [Publications] 嘉門雅史: "汚染土処分地の環境影響評価について"京都大学防災研究所年報. No.43B-2. 497-513 (2000)
• [Publications] 今村聡: "揚水記録からの揮発性有機塩素化合物存在量の推定"第35回地盤工学研究発表会平成12年度講演集. 2517-2518 (2000)
• [Publications] 川端淳一: "環境リスクの定量評価に関する一考察(C-Soilモデルを用いた検討)"地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会第7回講演集. 107-108 (2000)