1999 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓開発のための機械的ポンプシステムの生体適合化に関する基礎研究
Project/Area Number |
10357012
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 部長 (60155752)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
築谷 朋典 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00311449)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
中村 真人 東京医科歯科大学, 助教授 (90301803)
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Keywords | 人工心臓 / 生体適合化 / 血液破壊 / 流れの可視化 / 数値解析法 / 血栓形成 / 解剖学的適合性 / 熱 |
Research Abstract |
高機能人工臓器を開発する技術は、我が国の先進工業基盤技術を医療分野に応用することで大きく発展する可能性が高いが、その実現のためには機械としての人工臓器を生体の機能に適合させるための基礎技術研究が不可欠である。本研究では、高機能が要求される人工臓器のうち、健常な皮膚を介して伝送される電力によって駆動される体内完全埋込型の定常流式および拍動流式の電気駆動式人工心臓を対象として生体適合化に関する基礎研究を行った。今年度は全ての事項について昨年度の研究を発展させた。 1.血液破壊の軽減:遠心ポンプのインペラとケーシングの半径方向隙間ならびに軸方向隙間を独立に変化させたモデルを作成し、溶血試験、流れの可視化、数値計算を施行した。溶血試験の結果、半径方向、軸方向ともに0.5mmのものが最も大きな溶血を示した。数値計算結果に基づいて算出した最大せん断応力値は半径方向隙間が小さくなるにつれ増大した。ポンプ出口形状を変更すると流れは大きく変化するが最大せん断応力の値には影響がなく、溶血試験結果にも顕著な差が見られず、インペラーとケーシングの半径方向隙間における強いせん断流れが溶血に大きく影響していることが示された。2.血液の凝固に伴う血栓形成の防止:インペラの表面に対する血液の相対的な流速を数値解析で求め、低流速領域を検出した。数値解析に用いた条件と同様の駆動条件で犬を用いた体外循環を行ったところ、同一部位に血小板の粘着が見られ、数値解析とin vivoの結果の一致を見た。3.体内空間や生体組織に対する血液ポンプの解剖学的適合性の実現のための方法論の創出:昨年度に行った画像解析を基に解剖学的適合性を考慮して全置換型人工心臓をデザインし、それを慢性動物実験に応用した結果優れた体内への装着性が明らかとなった。4.体内での熱発生の影響と許容限界の明確化:熱源としての電気油圧式人工心臓を埋め込んだ慢性動物実験で熱源周囲温度を連続測定するとともに肺に及ぼす病理組織学的影響の検討を行った。熱源に対する生体の適応が病理学的に観察された。5.経皮的電気エネルギー伝送に伴う電磁波による生体への影響と許容限界の明確化:経皮的電力伝送慢性動物実験を4ヶ月間にわたって行い、生体への電磁波の影響が特に見られないことが分かった。
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[Publications] Masuzawa T: "Development of design methods for a centrifugal blood pump with a fluid dynamic approach : Results in hemolysis tests"Artificial Organs. 23(8). 757-761 (1999)
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[Publications] Masuzawa T: "Progress of an electrohydraulic total artificial heart system with a separate energy conveter"ASAIO Journal. 45(5). 471-477 (1999)
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[Publications] Tatsumi E: "In vivo evaluation of the National Cardiovascular Center electrohydraulic total artificial heart"Artificial Organs. 23(3) (in press). (1999)
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[Publications] Zhang B: "Three-dimensional thoracic modeling for an anatomical compatibility study of the implantable total artificial heart"Artificial Organs. 23(3) (in press). (1999)