1998 Fiscal Year Annual Research Report
繊維強化型審美性矯正用ワイヤーの臨床応用のための材料特性の改良と生体安全性の評価
Project/Area Number |
10357019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 助教授 (40160030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 雅博 千葉工業大学, 工業化学科, 助教授 (20083868)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
山本 隆昭 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (40230560)
山方 秀一 北海道大学, 歯学部, 助手 (70292034)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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Keywords | 歯科矯正用ワイヤー / 複合材料 / 審美性歯科材料 / 繊維強化型プラスチック(FRP) / 生体材料 / CPSAガラス繊維 / 機械特性 / 3点曲げ試験 |
Research Abstract |
今年度の当該研究の成果は次の通りであった。1.CaO-P_2O_5-SiO_2-Al_2O_3(CPSA)ガラス繊維(φ20μm)とPMMAを用い、引き抜き成形法にて直径0.5mmの繊維強化型審美性矯正用ワイヤー(以下,FRPワイヤー)を作成した。2.水中浸漬の影響を調べるため、繊維体積分率(以下、Vf)29.1-60.4%のFRPワイヤーを10-30日間水中浸積した。3点曲げ試験の結果、たわみ1mmでの曲げ荷重値は10日目まで、弾性率は20日目まで減少していた。30日目での曲げ荷重値は浸漬前の93%、弾性率は87%であった。3.応力緩和試験の結果、浸漬前では60分後、浸漬後では120分後まで応力緩和を認めた。4.浸漬前後のワイヤー外径に有意差はなかった。5.たわみ2mmまでの3点曲げ試験の結果では、高いVfのワイヤーで除荷時荷重値と弾性回復量が浸漬後に著しく低減していた。6.FRPワイヤーの吸水劣化を防ぐため、シリコーンゴム、フッ素樹脂、Bis-GMAによりワイヤー表面へコーティングを行った。3点曲げ試験の結果、Bis-GMAのものの荷重値低下が最も低かった。7.Bis-GMAでコーティングされたワイヤー断面をSEM観察した結果、膜厚は52-136μmであり、ほぼ均一にコーティングされていた。8.FRPワイヤーに対して三点曲げ疲労試験(繰り返し荷重0.7-3.5N,支点間距離14mm,周波数2Hz)を行った。その結果、荷重を小とすると破壊に至る繰り返し数が大となった。Vfを大とすると繰り返し数は大となった。9.疲労破壊は繰返し荷重0.7Nでは約1x10^6以上であり、十分な疲労特性を有していた。10.同じCPSAガラス繊維とPMMAを用いて、重合法によりFRP重合ワイヤーを成形した。これにより、Vfを低く(10-20%)、ワイヤー外径を細く(0,4mm)することができた。11.三点曲げ試験結果での最大たわみ量はFRPワイヤーで2.2mmに対して、FRP重合ワイヤーでは3.0mmになった。12.曲げ強さと弾性率は両ワイヤーとも同等であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 永山 和典: "審美性矯正用ワイヤーの水中浸漬による影響とコーティング処理に関する研究" 北海道歯学雑誌. 19・2. 197-214 (1998)
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[Publications] Imai Tohru: "Effects of new esthetic wire under water immersion on medical proparties" American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. (印刷中).