1998 Fiscal Year Annual Research Report
<美術>展示空間の成立・変容-画廊・美術館・美術展
Project/Area Number |
10410014
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長田 謙一 千葉大学, 教育学部, 教授 (20109151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ベルント ジャクリーヌ 立命館大学, 助教授 (00241159)
長谷川 祐子 世田谷区美術館, 学芸員
木下 直之 東京大学, 総合博物館, 助教授 (30292858)
水沢 勉 神奈川県立近代美術館, 学芸員
五十殿 利治 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (60177300)
|
Keywords | 美術 / 近代 / 展示空間 / 美術館 / 近代日本美術史 / 現代美術 / 展覧会 |
Research Abstract |
本年度は、共同研究者各自の研究推進に相対的力点が置かれ、成果の多くもそれぞれの研究に応じた機会に発表された。代表長田は、現代的展示空間変容問題に関わる議論を国際シンポジウム「地域社会にとってなぜアートは必要か」(国際交流基金等)基調講演等で展開する一方、民芸運動等に美術館的<まなざし>の成熟を問うた。分担研究者五十殿は1927年「明治大正名作美術展」に近代日本美術史観の原形を問い;水沢は「モボ・モガ」展の企画準備と関連して大正昭和期の展覧会活動研究を推進し;木下は、猿猴庵関係資料分析ための基礎的調査を進め;長谷川は、アジア・日本の現代美術を視野に収めつつ作品と展示場所の関わりを中心に調査・研究を進め;ベルントは、<美術>とその「他者」の関係を視座に展示空間問題をカルチュラル・スタディーズ的に研究し;吉見は、20年-30年代および戦後の両期の技術イメージの変化を中心に歴史分析を進め:小泉は、岡倉天心・河口龍夫・若林奮等を見据えつつ「彫刻」展示空間の変容に関する考察を進め;蔵屋は、近代日本における制度<美術>の境界を「壁画」の展開にたどり;神野は、1980年代にピークを迎える、美術館外の空間を異化する作品発表形態に関する調査・考察を進め;木村は舞台に関わった20-30年代ドイツ・日本の美術家に関する基礎的調査を行った。研究協力者横山勝彦には、現代日本の美術館問題を地域社会との連携と言う視点から論及するために研究協力を仰いだ。以上の個別的研究の発展に立脚しつつ、共同研究のために以下の研究会を開催し、研究討議を行った:第1回(6.27):研究計画具体化/第2回(12.18)水沢「ハンブルガー・バーンホーフ」、蔵屋「近代日本の壁画」/第3回(1.22)長田「<日本的なもの>の成立と美術展示空間」、五十殿「明治大正名作展と近代日本洋画の『名作』」/第4回(2.13)小泉「彫刻の仮設性」、木下「見世物の展示空間」。
|
Research Products
(34 results)
-
[Publications] 長田 謙一: "「新日本美」の創生-戦時下日本における民藝運動" 批評空間. II-19. 190-203 (1998)
-
[Publications] NAGATA,Kenichi: "Kunst and Gesellschaft" “Kunst and Gesellschaft Verbinden" Symposium bericht zum Symposium “Kunst u.G.verbinda". 8-10 (1998)
-
[Publications] 長田 謙一: "<美術/社会>の草地 戦後ドイツ-美術の転回" 平成9年度 地域・草の根交流欧州派遣事業「美術と社会を結ぶ」報告書(国際交流基金). 25-29 (1998)
-
[Publications] 五十殿 利治: "東郷青児の登場とその芸術的環境・日比谷美術館と青〓社を中心に" 生誕100年記念『東郷青児展図録』. 4-6 (1998)
-
[Publications] 五十殿 利治: "不連続なアヴァンギャルド・岸田劉生・村山知義・小野忠重(及.同英訳)" 『モボ・モガ展図録』. 231-234 (1998)
-
[Publications] 五十殿 利治: "戦後アヴァンギャルドの出発・「夜の会」から実験工房へ" 『草月とその時代』展図録. 17-21 (1998)
-
[Publications] 水沢 勉: "労働歌の止んだ町(及・同英訳)" 『モボ・モガ1910-1935』展覧会図録. 222-228 (1998)
-
[Publications] 水沢 勉: "「版」に〓む" 『版の繪』. 7. 2-3 (1998)
-
[Publications] 水沢 勉: "「造形版画協会の記録 戦前篇" 『版の繪』. 7. 8-9 (1998)
-
[Publications] 木下 直之: "正遷宮のかざり" 辻惟雄編『かざりの日本文化』. 277-297 (1998)
-
[Publications] 木下 直之: "大観音山中出現記" ポーラ文化研究所『ぬっとあったものとぬっとあるもの』. 4-14 (1998)
-
[Publications] 木下 直之: "学芸員と博物館" 『情報の科学と技術』. 48-49. 535-537 (1998)
-
[Publications] 長谷川(金子)祐子: "フレーム&フレームス" 国際美術評論家連盟AICA総会発表報告書. 100-110 (1998)
-
[Publications] HASEGAWA,Yuko: "Performance and time art in Japan" So What-Japanese Contemporary Art (Ecole Nationale Superiecuredes B-Arts,Paris). 50-65 (1998)
-
[Publications] 小泉 晋弥: "「日本の油絵」の到達点-牛島、大沢、難波田の位置" 月刊美術. 244(271). 50-53 (1998)
-
[Publications] 小泉 晋弥: "吉井 忠の戦い" 『ふるさとの画家 吉井忠』展図録. 39-69 (1998)
-
[Publications] 小泉 晋弥: "関係-教育・エドゥカティオ" 『呼吸する視線 河口龍夫 見えないものとの対話』展図録. 103-111 (1998)
-
[Publications] BERNDT,Jaqueline: "Zeitgenossische asiatische Kunst in Japan-Bericht uber einen LernprozeB" Comparativ (Leipziger Uni-verl). 8. 98-118 (1998)
-
[Publications] BERNDT,Jaqueline: "“Verkunstung" des Comics Wo japanische Kunstwisseuschaft and Mangastudien sich bislang begegnell" “Thesis" Wiss. Zisch Bauhyas-Um Weimar. 1998-6. 52-73 (1998)
-
[Publications] ジャクリーヌ・ベルント: "アートとして論じられないアート・嶋田美子の作品を考える" 立命館言語文化研究. 10. 5-25 (1998)
-
[Publications] 蔵屋 美香: "ギャラリーから 野田英夫<帰路>" 現代の眼 東京国立近代美術館ニュース. 511. 16 (1998)
-
[Publications] KURAYA,Mika: "Kunstler auf Koreanreise -Das Fremde in Japanischen Blick(1895a.1945)" Comparativ. 8. 82-97 (1998)
-
[Publications] 蔵屋 美香: "土谷 武の内と外" 視る 京都国立近代美術館ニュース. 377. 2-4 (1998)
-
[Publications] 神野 真吾: "礼拝堂という場の魅力と形態の美しさ" 美術手帖. 50-72. 50 (1998)
-
[Publications] 神野 真吾: "清水 誠一のCrank Painting" 『山梨の現代作家たち』展図録. 128-129 (1998)
-
[Publications] 神野 真吾: "Body Scale 現象界と物質界をつなぐもの" 『山梨の現代作家たち』展図録. 144-145 (1998)
-
[Publications] 木村理恵子: "「シェイクスピアのヴィジョン」あるいは表現主義の舞台" コレクションによる「物語る美術IIシェイクスピアのヴィジョン」展図録. 2-7 (1998)
-
[Publications] 木村理恵子: "和と洋の融合 リーチの軌跡を追う" 目の眼. 1999-2. 33-40 (1999)
-
[Publications] 加藤 雅彦他(編著)(長田謙一・分担執筆): "現代のドイツ" 大修館書店, 983 (1998)
-
[Publications] 長田 謙一(共著): "イギリス工芸運動と浜田庄司:追加資料" 千葉市美術館, 15 (1998)
-
[Publications] 木下 直之: "博士の肖像" 東京大学出版会, 144 (1998)
-
[Publications] 吉見 俊哉_他編著: "デザイン・テクノロジー・市場(叢著・情報社会の文化)" 東京大学出版会, 234 (1998)
-
[Publications] 小林 康夫他8篇(長谷川 祐子分担): "現代アート入門" 平凡社, 296 (1998)
-
[Publications] 小泉 晋弥 他: "岡倉天心と平櫛田中" 茨城大学・五浦美術研究所, 349 (1998)